表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
177/1139

悪魔がウチにおりまして・172

ウチには悪魔がいる。

そういえば毛並みが一定だったりする、悪魔が。


「ねぇ悪魔。アンタどこで毛を切ってるの?」

何の気なしに聞いてみると、悪魔はポトリと歯ブラシを落とした。

歯磨き粉付ける前でよかったー。

「ニ、ニンゲン、聞いてしまうのですか……ボクの美しいキューティクルの秘密が気になるのですか……」

このテンション、前もなんでもないことの時に有ったなー。

なんだったっけなー。

一瞬で興味を失ったことに気付いたのか、悪魔は足にしがみつく。

「きーにーなー」

「りません」

バッサリ切ると悪魔はしくしく泣きながら歯磨きを始める。

「あれ、ミミさん。どうしたんです?歯磨き粉と間違えて接着剤でも使ってしまったような顔をして」

牛がひょっこり畳から顔を出す。

喩えのセンスよ。

どことなく毛並みの良い牛。

タイミング、良いですな。

「ねぇ、牛牛。アンタたちどこで毛を刈ってるの?」

「何気差別的扱いを受けた気がするのはスルーしますね。どこってお店ですよ。自分じゃ切れませんから」

「きーにーなー」

「おしゃらっぷ」

すり寄ってくる悪魔を押し返し、牛に聞く。

まーた泣いてうがいしているよ、この子。

器用だな。

「なんです、ミミさん花粉症ですか?」

「放っておきましょ。あっちにも美容院あるんだね」

頷いていると牛が目を細める。

「ニンゲンさん、こっちのこと馬鹿にしてますー?ボクたちみたくこっちで仕事しているのもいれば、日常を支えてくれてる方々もいるんですよ」

確かにこっちの世界がいろんな仕事のあるように、あっちでも分業くらいするだろう。

「……この子、本当に仕事してるの?」

今泣きながらフェイスケアしている小動物に疑いの目を向けてしまう。

「割と評価高いですよ。怒らないし」

ほー。

この子もこの子で頑張ってるのね。

「あの専務とかげん……」

「お疲れ様です!」

悪魔はいきなり涙を止めて45度で腰を折った。

そして何事もなかったようにフェイスケアに戻る。

「条件反射ですね。ね?苦労してるでしょ」

同意を求めるな。

あのリアクション以降、私は悪魔の前で「専務」と言わないことを決めたのでした。


ウチには悪魔がいる。

思った以上に社畜していた悪魔が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ