悪魔がウチにおりまして・168
ウチには羊と神がいる。
もう面倒なので本人同士で話し合いです。
「なんで私がここに居させられるのよー」
などと原因が喚いております。
「私も何故でしょう……」
鈍感羊も同罪でーす。
「えー、第一回会議を開始しますー」
ゆるっと始める議長、悪魔。
なんとなくいる牛。
巻き込まれた私。
さぁ、不毛な勘違いトークが幕を開けるのだ。
「という事になっていて、ヤギさんが困っているようなんですー」
「ふ、ふぅん。やっぎー大変だねー」
神ちゃんの眼が露骨に泳いでいる。
まさかアレか?この子恋愛下手か?
「すでにオフィスにも山芋が……」
「だ、誰だろうねー。そんなことするヒトはー」
全く羊の方を見ない神ちゃん。
凝視する牛。
おー、汗が滲んでるー。
「私は誰かの恨みを買うようなことをしたのでしょうか」
羊は白湯を飲んでいる。
カフェインにも耐えられないくらい胃をやられているそうだ。
「で、でも、その送った人ももしかしたら好意かも知れないし?」
羊が虚ろな目で神ちゃんを見る。
「アレが好意なら……相当空気が読めないか、人の気持ちを思いやれないか……少なくとも真っ当な感性ではありません」
羊、本人にダイレクトアタックかましてますよ!?
当の本人の反応は!?
「滅ぼす」
なんて!?
「こんな世界滅んじゃえばいいんだぁ!」
マジで勘弁しろよ!?アンタの空気の読めなさで世界滅ぼすな!
「あの、どうしました?」
羊はおろおろとしていて頼りにならない。
「あの、ヤギさん。その空気読めない人が、本当に空気読めない人で、純粋に空気読めないけど、ヤギさんのこと好きならどうします?」
のんびりと牛が聞く。
なんか3回も致命傷与えた気がするのは無視。
「えっと、量とか間違えないでくれれば純粋にうれしいですけど……」
「めんどくせぇ、結婚しちゃえばいいのです」
悪魔、そんな低い声出た!?
『結婚……?』
ハモるな、面倒だから。
『それも、いいかもですねぇ』
ハモるな!面倒だから!
その日から迷惑な宅配便はぴたりと止まったと聞く。
「ねぇ、ニンゲン。恋愛って面倒ですね」
悪魔に言われちゃ世話ないわ。




