悪魔がウチにおりまして・165
悪魔と天使と神が目の前にいる。
天使、苦笑いしてるけど?
「主よ、世間体。いつも言っているでしょう?」
「いいんだよー。どうせウチらしか見てないし」
『ねー?』
悪魔とハモる自称神。
うん、見なかったことにしたほうがいいの?
「天使、もしかして苦労人?」
「同情されると余計に胃が痛くなる」
否定はしない、と。
「とりあえず神さま?悪魔と仲良いのはいいけど、私を呼んだんだから何の用?」
無理に出頭命令なんて物騒な。
「あー、ごめん。アレ、ウソ」
天使、目が点。
そりゃそうでしょうけど。
「ほらー、ミミちゃん最近こっちに来てくれなかったでしょ?人の仔呼び出せば一緒に来てくれるかなって」
とんでもないヤツが神やってるな。
「神ちゃん、ボクに会いたいならスマホの番号教えておくです」
「ごめん、こっちまだ電波届かなくて。早く人の仔には進歩して貰わないとなー」
わいのわいのはしゃぐギャル2人。
「ねぇ、殴ったらバチが当たるとかない?」
「知らん。そんなことを考えた者など有史以来……居るな、たくさん」
天使は目頭を押さえて天を仰ぐ。
割と叛逆してるニンゲン多いものなー。
「神上殿、実はこんなものを持って来まして」
ウチのあきんどが交渉に入ったぞー。
「……ねぇ、この羊ダレ?」
さすが神、見抜くか。
「この羊はヤギさんなのですー。ボクの元上司ですー」
「……帰らせて!今すぐ!」
神は顔を真っ赤に染めてビシリと外を指さす。
「で、ですが、ひと口コレを……」
「いいから!早く!それは置いておくように!」
羊は天使にタヌキのイラストが描かれたカボチャパイを渡してすごすごと引き下がる。
「私、何か悪い事したでしょうか……」
しょげている羊だが、そもそもあんた不法侵入でしょうに。
「んー、神ちゃんの反応を見ると……」
悪魔の言葉の最中、天使がげんなりとした表情で後を追う。
「そのままの言葉を伝えるぞ『お友達から始めましょう」だ」
「これは、取引成功と思えばよろしいので!?」
羊!?違う違う!
「ヤギさん、昔からモテないですからねぇ」
珍しく悪魔がチベスナ顔で喜ぶ羊を見ている。
春の気配がする。
出物腫れ物所嫌わず、で合ってる?




