悪魔がウチにおりまして・158
ウチにはダークマターがある。
中華鍋に入れられた暗黒物質が。
中華鍋の中でメラメラ燃える黒い球。
うぱ、やめなさい。揺するんじゃない。
「で、コレ条約って?」
悪魔はとりあえず正座させてたら自分で軽石を膝の上に乗せてふごぅとか言ってる。
本物の石に取り換えてやろうかしら。
「えっと、こちらの世界で言うところの核廃棄物と同レベルの扱いって言えば伝わるでしょうか?」
「放射線出てんの?」
ギャグで許される範囲超えてきてるけど?
私の言葉を受けて羊は手を横に振っている。
「さすがにそれはありません。せいぜい破裂してブラックホールを作るくらいで」
「大事じゃない」
軽石遊びをしていた悪魔の頭をはたく。
そんなカジュアルに地球壊れるもの持ち込むんじゃないよ。
「実際いくつかの星が吸い込まれた事態に。なので条約で廃棄に関しては厳しく決まっているのですが」
それをぽーいしてたおバカな子がここにいるけど?
「そのことは後でしっっっっかり折檻するとして」
珍しく羊ガチギレですね、そりゃそうなんだけど。
「みー」
みーじゃない、破壊神。
「問題はこの発火しているのをどうするか、なんですよね」
少し心配になってあえて聞いてみる。
「普通、燃えるの?」
「燃えません」
ですよねー。
「え?でもしょっちゅう……」
あんたはおシャラップなさい。これ以上罪を重ねない。
「……ミミ君のことは一旦放置しましょう、話が進みません」
「要するにコレ、どうするの?」
とっても危ないことは分かった、捨てるのも大変なことも分かった。
どう処理したらいいかだけわからないでしょうに。
「どうしましょうかねぇ。私も初めて見るんですよね、燃えたヤツ」
「だからぽーいって」
悪魔、そろそろ私がキレますよ?
「違うのですー。燃えたらぽーいすると風で火が消えるのですー。そうすると爆発しないのですー」
……んなアホな。
「……ニンゲン、どうやら合っているみたいです。悪魔ドットコムでも同じ方法が書かれています」
また情報量が多い羊のセリフ。
悪魔の文字が読めないので任せることにする。
羊に中華鍋を持ってもらい、悪魔を放流。ちゃんと処理して返って来てね。
ウチには悪魔がいる。
帰ってきた2匹は少し焦げていた。




