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悪魔がウチにおりまして・156

ウチには悪魔がいる。

おそらく独り暮らしの経験の長い悪魔が。


とある昼下がり、悪魔がいきなりキッチンに立つと中華鍋に油を入れ始める。

「何するのー?」

「なんか疲れたので料理でも作ろうかと」

疲れた子がすることじゃないんだけどなぁ。

冷凍庫から炊いた米を取り出して温まった鍋に放り込む。

小気味のいい音。

卵を投げ入れて、豪快に振るう。

「ニンゲンー。ネギ切ってくださいー」

先に切りなさい。

やることも無いので冷蔵庫にあった万能ねぎを刻み鍋に入れていく。

ちらりと鍋を見ると明らかに10人前を越える米が鍋の中に入っている。

「多くない?」

「ボクと、ごんちゃん、クモちゃん。ヤギさんと兎田さん、ぽんちゃんも匂いにつられて来る気が」

「います」

いつの間にかちゃぶ台について首元にナプキンを付けているモグラ。

「ミミちゃんのチャーハン……これは検証の価値あり、です」

「大げさなー。ニンゲン、コショウは多めに」

味付けしているの、ほぼ私なんですけど?

「細かいことは良いのです。問題は、味……。味が良ければなんでも解決するのです……」

悪魔族はどこかしら脳筋が多いけど、この子は食脳筋かー。

「ニンゲンさん、これも入れてください。ウチの畑で取れました」

しれっとピーマンを渡してくる。

コイツ、まさか作り始めてからもいで来たのでは?

モグラに言われるまま、ピーマンを刻んで鍋に。

「ニンゲン!?そのぷらちっくをなぜ!?」

悪魔が一気に青ざめる。

「ミミちゃん、好き嫌いはいけません。それにこれはピーマン、プラスチックじゃありません」

モグラ、おそらくおかんむり。

そりゃ丹精込めて育てた野菜をプラスチックって言われたらね。

「そんな光沢のある緑、石油由来じゃなくてなんだって言うんですか」

クレームを入れながらも鍋を振るう手は緩むことなく。

あっちにも石油があるって豆知識が入りました。

「それならば、このチャーハンを食べなければよろしい。食事とは命を頂く儀式。好き嫌いなど……」

「レバー、入れますよ?」

「次から気を付けますので、平に」

モグラ、レバーダメなのね。

「おや、珍しい。チャーハンですか」

羊がひょっこり顔を出す。

「ちょうどカニを仕入れまして、カニチャーハンに……」

それがち、甲殻類があれるぎーでちて。ヤギ殿、ことと次第ちだいではご退去を」


ウチには狐と羊がいる。

土下座する羊なんて他では見れないよ?

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