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悪魔がウチにおりまして・151

ウチには悪魔がいる。

最近の主食がめっきり牧草になった悪魔が。


「ニンゲン、太りました」

悪魔は牧草をむしゃむしゃしながら真顔で訴えてくる。

悪魔が真顔かどうか見抜けるようになって久しい。

ニンゲンの進化というのは留まることを……。

「ニンゲン、どうしたらいいですか」

以前牧草を口に運びながら訴えかけているので原因は考えるまでもない。

「牧草辞めれば?私たちと違うのそれだけでしょ」

「そもそもの話、ウチの牧草そんなに食べたらそりゃ太るでしょとしか言えないんですが」

モグラが空になった茶碗を自然と出してくる。

自分でよそいなさい。

「ぽんちゃんは毎日食べているのではないのですか?」

「ボクは牧草はちょっと。トマトもモロコシもほうれん草もあるので」

地産地消ならぬ自産自消ってわけね。

確かにモグラの野菜、美味しいもんなぁ。

「でも!この草も!美味しいのです!」

悪魔の主張は止まない。

それも分かるけど太ったならやめなさいな。

「……ミミちゃんにはウチの野菜の真価を味わってもらうしかありません。明日の晩御飯はお任せを」

そう言うとモグラは茶碗を片付けて去っていった。


明くる日。

「今宵はトラットリア・カーネ・プロチョーネにご来店いただき、誠に……」

「ぽんちゃん、お腹減りました!」

悪魔の抗議でモグラの挨拶が中断。ちょっとかわいそう。

「それではごゆるりとお楽しみを」

ちゃぶ台に踊るのはイタリアンコース。

野菜だけではなく、肉も魚も出てくる。

なんで?

「お魚は私が提供いたしました」

羊が胸にナプキンを付け(どうやってるの?)行儀よくナイフとフォークを動かす。

羊、何気育ち良さそうなのよね。

「本日のデザート、自家製プリンです」

最後に出てきたのは卵の味が濃厚なプリン。

バニラアイスが添えられ、苦みの効いたカラメルソースがかかっている。

「大変美味しゅうございました、シェフにコレを」

羊は口を拭いながらポチ袋をモグラに手渡す。

シェフ、その子でしょ。

「ぽん殿、ウチに出店ちませんか?」

狐が引き抜こうとするのも分かる、モグラずキッチン。

「今回は特別、ミミちゃんどうでした?」

「ごんちゃんちにお願いします」

それ以来悪魔は牧草を食べなくなった。痩せたとは言ってない。


ウチにはモグラがいる。

時たまコック帽をかぶったモグラが。

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