悪魔がウチにおりまして・150
久しぶりにウチに居る。
なんかところどころ綺麗になっている、ウチに。
羊の家から帰ると、ウチの中が綺麗になっている。
掃除の綺麗さではなく、畳の日焼けも消えて襖も新しい感じ。
「……なんか綺麗」
「宿主殿、せっかくなのでりふぉーむの依頼もちて置きました。大家殿にも相談済です」
狐はブイサインを掲げる。
私にも許可を取りなさい。
「うわぁ、本当にやってくれたのですね、ごんちゃんありがとうですー」
ねぇ、悪魔。
最近狐がスポンサーじみているけど、友情は大丈夫?
「節税でお金を使いたかったのです」
狐、立派にこちらに馴染んでいるようで。
「本当はおーる電化にちたかったのですが、光熱費高騰のあおりを考えると、ガスに分散ちておいた方がよいと判断ちました」
ねぇ、狐。
少しばかり頭痛いからその話やめない?
クモが帰って来るなり綺麗になった部屋を見て真っ青に。
そっか、外の人が入ると自分のロフトが掃除されちゃうかもだから。
しかし、クモロフトはそのまま残っていた。
「りふぉーむを頼む前にぶるーちーとを張っておきまちた。クモ殿のお屋敷を壊されるわけにいきませんから」
その言葉を聞いてクモは狐に飛びつく。
……たぶん、抱き着いたんだろうね。
何度も頭下げてるし。
「ニンゲン!ボクの部屋が防音仕様に!いくらでもオカリナ練習ができます!」
さっきから静かだと思っていたら中でさっそく吹いていたらしい。
全く聞こえなかったこと考えるとすごい。
「……睡眠には代えられません」
狐ー。
目が笑ってないぞー。
「狐ちゃん、良いの?結構かかったんじゃない?」
「いえいえ、某はここでお仕事している登記ちていますので、経費です」
だからいちいち目が怖い。
「登記?狐ちゃん、会社にしてたの?」
てっきりお賽銭で生活していると思っていた。
「……もらったというにも限界がある金額になってちまいまして」
なんかいろいろあったのね。
そうは言ってもあくまでも畳などを新品に入れ替え、配置などはそのまま。
明らかに防音を付けたくてやったのだろう。
狐、結構きつかったのかなぁ。
ウチには狐がいる。
自分の安寧のため、惜しげなくお金を使う狐が。




