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悪魔がウチにおりまして・149

ウチらは牧草に包まれている。

この草、ダメになる。


羊宅に居候して1週間。

もうとっくにトイレは直り、今すぐ戻っても構わないはずなのに誰一人帰ろうとしない。

その理由はわかっている。

この草だ。

始めこそチクチクして眠り辛かったものの、慣れれば問題はない。

そこもまだいい。

問題はこの草が美味しいということだ。

きっかけは羊が出かけ際に高いところに積んである草をひょいっとつまんで食べていったことがある。

「ニンゲン、この草食べられるのですか」

「まぁ、羊が牧草食べていても不思議じゃないよね」

羊があまりにも自然に食したためツッコむ隙も無かったが、床材として敷いているものと同じ草を食べるのはどうなのよ。

「ニンゲン、この草を食べてもいいですか」

悪魔よ、よだれを垂らすな。

尊厳を保ちなさい。

そんな最中、クモが寝ぼけ眼で草を食んだことがいけない。

クモはその瞬間飛び起きるとむしゃむしゃと食べ始めた。

その光景を見てしまったら興味が勝るのは致し方ないと思わない?

まず堕ちたのは悪魔。

むしゃりと草を食べたらむぐむぐしながら

「ニンゲン、コレはいけません。ニンゲンの口には合わないと思います」

などと申しております。

このリアクションは明らかに独り占めですね。

私も一本つまんで口の中へ。

うまっ。

ただの牧草よ?

なんでこんなに味が濃いのよ。


それからです。

この草の美味しさに目覚めたのは。

「もう、草がないと生きていけません……」

悪魔、その発言アウトです。

「最近草の減るのが早いと思ったら食べてたんですね」

とろけた表情の悪魔にため息を吐く羊。

ごめん、私も結構食べた。

「あなた方も買ったら良いのでは?ぽん君から納品されているので」

あのモグラ、最強かよ。


結果私たちはウチに戻った。

モグラのお得意先になったのは言うまでもない。

「……本来、家畜用なのですが」

ですよねー。

モグラの言葉は聞きません。

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