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悪魔がウチにおりまして・145

ウチには悪魔がいる。

割と聞き分けのいい悪魔が。


「ニンゲン、ココアもう一杯いいですか?明日一杯減らすので」

夜寝る前に悪魔が私のパジャマの裾をくいくい引っ張りながら尋ねてくる。

「別にいいけど、こんな遅くに飲むの珍しくない?」

「最近、寝付けないのですー。ストレスなのですー」

悪魔、寝れないほどストレス溜まってるの?

ちょっと心配になったので聞いてみると、季節の変わり目によくあるそうで毛の抜け替えや体温調節が上手くいかなくてよく眠れないらしい。子どもか?

「悪魔、明日の予定は?」

「サボ……休みですー」

今絶対サボりって言おうとした。

でも休めるなら休むでいいでしょう。

「私も休みだから一緒に付き合ってあげる」

悪魔は目を丸くする。

「……ボクのココアを二杯減らすつもりですね」

そんな言い草なら明日の分、全部飲んでやろうかしら。

「私の分はノーカン。のんびり飲むのもアリでしょ?」

そう言いながらミルクパンに牛乳を注ぎ、火にかける。

ココアの粉を入れて、泡だて器で混ぜながら溶かしていく。

「ニンゲン、粉は多めが美味しいのです」

甘そうだなぁ。

通常のスプーンに追加で一杯、そして粉コーヒーを渡してくる。

「ココアに混ぜると味が豊かになるのです。ちょっとだけでいいのですー」

なんか研究してるし。

モカみたいなものかなぁ、と悪魔に従って粉コーヒーを少しだけ。

充分にココアが溶け切り、沸騰直前で火からおろす。

さすがにコップを温める手間はしなかった。

「ニンゲンは、まだまだココ道を修めてません……」

茶道みたいに言うんじゃありません。

ふたつのマグカップへ均等に注ぐと既に寝ている2匹を起こさないように静かに飲み始める。

ひと口啜ると、確かにコーヒー入りだと味が膨らむ。

ちょっと苦いのと、ココア多めなので甘さが濃い。

「うん、美味しい」

「ですよねー。ヤギさんはこの苦みは邪道と言います」

あの羊、実は甘党か。

なにがあるわけでもなく、のんびりと2人で向き合いマグカップを傾ける。

「ニンゲン、ごちそうさまです。片付けはボクがやっておくです」

「そう?お願いね」

布団の中に入って、台の上に乗りながらマグを洗う悪魔の背中を見る。

不思議な縁だよなぁ。

その日の眠りはぐっすり(次の日寝坊するくらい)だった。


ウチには悪魔がいる。

私が出かけるまでぐっすり寝ていた、悪魔が。

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