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悪魔がウチにおりまして・15

ウチにはクモがいる。

悪魔が連れてきて飼い始めた、クモが。


「では、今日は出かけてくるので面倒を見ておいて…」

「待ちなさい」

クモを飼うことになって最初の休日、悪魔が畳を返し潜っていこうとするのを頭を掴んで引き留める。

「この子飼うならアンタが面倒見るって言ったよね?何3日で反故にしてんの」

「うぬぅ…どうしても外せない用事が…夕方には帰りますのでっ」

言うが早い、頭を掴んでいた手からするりと抜けると床下に消えていってしまった。

ここに入れるのは悪魔系だけみたいで、すぐに普通の床下になってしまった。

「あぁ、もう!」

行き場のない怒りで地団駄を踏みそうになるも、おずおずと寄ってきたクモがつぶらな瞳で見ている。

「別にアンタに怒っているわけじゃないから気にしないで」

こくりと頷いた…ように見える。

この前行なった悪魔との旗上げ合戦で、この子が人の言葉を理解していることはわかっている。

そのためこちらからの要望は伝わるもののこの子の意志は…。

いけない、なぜクモとコミュニケーションを取ろうとしているのか。

冷静になれ、冷静に。

冷静になった瞬間、普通は悪魔と同居をしないという根本に辿り着いてしまったのだが。

クモを放置して外に出かける訳にもいかず、せっかくなのでのんびりと眺めることにする。

最初は不思議そうにこちらをチラチラ見ていたクモだが、気にしなくていいよと言うと納得したように自分の巣に帰っていく。


部屋の天井に糸をより集め、小さな棚のような巣を作っており、そこに戻り眠っている。

もはやツッコミどころしかない。

だがこの子は頭がいいのか、ご飯には寄り付かないし、寝るときはしっかり巣に戻る。

そして足元に寄らないので踏む心配もない。

ご飯に関しても最初こそ床にアルミホイルを置いて使い捨てていたがそのことも勿体なくなり、専用の皿を用意した。

イヌ、ネコと扱いが変わらない。ただし足が倍あるので撫でたいとかは思わないけど。


「ただいまですー」

床下から悪魔が帰ってくる。時間は3時、確かに夕方までには帰ってきた。

「早かったね、何してたの」

不服の色を隠すことなく言うと、悪魔はにっこりを笑いながら。

「えへへ…じゃーん!」

勿体ぶって取り出したものは、リードと首輪。

「これならお散歩の時にも逃げ出しません!」

…クモって散歩必要かなぁ?


ウチにはクモがいる。

首輪を付けて、何気に喜んでいる、クモが。

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