悪魔がウチにおりまして・138
ウチには悪魔がいる。
最近通販を覚えた悪魔が。
家に帰ってくると段ボールが置かれていた。
そのこと自体はいいのだが。
「デカくない……?」
その箱の高さは私の腰を越えていた。
およそ1mの高さがある段ボール。
これは、どうしたものか。
「あー、届きましたー」
悪魔が玄関を開けると嬉しそうにその箱をひょいっと持ち上げる。
力が強いのかと思ったが、そもそも中身が軽そうであった。
「ねぇ、何を買ったの?」
「カタツムリです!」
「捨ててこい!」
通販で買うものじゃないだろうが。
「わーい、あったかいのですー」
家の中には巨大なカタツムリの……寝袋?クッション?なんとも言い難いものの中に入って顔だけ出している悪魔が顔をほころばしていた。
いきなりクモを拾ってきたことがあるのでワンチャン本当にカタツムリを買ったことを考えたのだが、あれだけ大きなモノなどいないだろう。
「ミミ殿、もはやなんの生き物かわかりませんね」
狐すら汗を垂らしながら悪魔を眺めている。
リアクションが一緒でよかった。
だが、アクマイマイのことをうらやましそうに見つめる影がふたつ。
クモとうぱである。
うぱはカタツムリ登頂を行ないてっぺんに旗を立てている。
どこから拾って来たの、それ。
クモも悪魔の唯一出ている顔付近をうろうろ。
「ダメですー。ボクが買ったのですー」
悪魔がドヤ顔をクモに見せていることを考えると、自分と変わってくれるように言っているのがわかる。
「狐ちゃん、あれってどういうリアクション?」
「某には何とも。クモ殿があんなに興味をちめすのも珍ちい」
それには同意。
クモってああ見えてクールだし。
「そんなに入りたいなら自分で買うのですー」
「ならん!」
こんな大きなものをもう一個だ?ウチがカタツムリに侵略されるわ!
「に、ニンゲンは可愛いと思わないのですか……?」
「サイズの問題!大きすぎる!」
「つまり、可愛いと思っているのですね……?」
「……微妙?」
「みー!?」
私の答えを聞いて、悪魔はカタツムリの中に潜っていってしまうのでした。
ウチにはアクマイマイがいる。
クモがそこに潜り込んでいった……。




