悪魔がウチにおりまして・135
悪魔がキッチンに立っている。
ミルクパンで何かを煮詰めながら。
「悪魔、なにしてるの?」
「ココアを入れてます」
悪魔がさっきから台に乗ってずっとしゃかしゃか混ぜている。
なるほど、牛乳から沸かしているのね…ん?
「ねぇ、悪魔。それいつごろから始めたの?」
「え?ココアですか?今年入ってから毎日ですが」
それかー!
悪魔に先月の利用料金を見せる。
「あんたがココア沸かすの始めてからガス代倍になってるの!これからココア禁止です!」
第X次料金戦争の始まりである。
悪魔とちゃぶ台を挟んで議論体勢である。
今回、ウチらを挟んでジャッジをするのは羊ではなく、牛。
なぜって?
羊はあっち側にいるからだよ。
「ニンゲン、ミミ君の入れるココアは我らの憩いです。それにも関わらずたかだか光熱費で奪うなど言語同d…」
「羊のご飯半分、おかず少なめでいいなら良いけど」
「ミミ君、居候の身でありながら家計を圧迫するなんて不敬ですよ!」
相変わらず変わり身早いなー。
「ヤギさん!むしろあなたが欲しいというから入れていたのに!?」
仲間割れは見苦しいのう。
「あの、ボク帰っていいですか?なんの関係も無くないです?」
「まぁ、付き合ってよ」
牛をなだめつつこちらに来た羊を悪魔のサイドに戻す。
ココア飲んでいたならあっち側です。
「ただでさえ料金上がっているんだから、毎日はダメ。週1にしなさい」
「「殺生な」」
お、ハモった。
「ニンゲンー。いくら入れればいいですかー。ココアは、ココアはー」
「こればかりは私もお支払いいたします。それなりの収入も確保しておりますので」
なぜだ、一瞬いい顔のモグラが見えたぞ。
しかし、今回のココアがあまりにもあっさり決まって怪しい。
何か、隠していないだろうか。
「2匹、何か隠してない?」
ビクッとしたな、2匹とも。
「牛、何か知ってない?」
「えー言って良いんです?御二人1日200杯くらい飲んでますから、ガス代それくらいで済んでるなら…」
「禁止します!!!」
交渉の後、お金を入れることと、1日5杯までで締結。
クモがあきれ顔なのは知りません。




