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悪魔がウチにおりまして・128

今目の前に大きな人型がいる。

なんだ、これ。


この状況で何が悪いかって、後戻りできる道が無いってことなのよね。

悪魔と羊は震えていて使い物にならないし。

かといってうぱを置いて去るわけにも…。

「あの、どなたですか?」

人型、しゃべる。

そりゃ喋れてもおかしくないんだけど、私たちを見つけちゃっているってことよね?

マズくね?

「うん?お友達?一緒に暮らしてた?そうか、そうか。え?」

なんか独り言を言って…違う。

うぱと話しているんだ。

「ねぇ、あなた!うぱが何言ってるか分かるの!?」

大声になったのはこれくらい声を張らないと聞こえないと思ったからです。

「そんなに大きな声出さなくて大丈夫ですよ、メノウさん」

なんで名前知ってるのよ。

「ニ、ニンゲン…逃げましょう…やばいです、アレはやばいのです」

悪魔が震えながら私の袖をぐいぐい引っ張っている。

ヤバいのなんてわかり切ってるよ。

でも逆にヤバいからこそ逃げられる相手じゃないでしょ。

「そんなミミさん、逃げるだなんて言わないで。うちの子と仲良くしてくれたお礼くらい言わせてくださいな」

少し悪魔に目を向けた瞬間、人型は消えて後ろに人間サイズの誰かが立っていた。

「…ウチの、子?」

私が首をかしげるとゆっくりと頷く。

「そう、あなたがうぱと呼んでいるこの子のことです」

こんなにも簡単に大きさを変えられる存在に相対しているのかと思うと寒気しかない。

「そう構えないでください。あなたがウチの子を迎えに来てくれたことはわかっています。そして、この子に良くしてくれたことも」

目の前の男は私の手を取ると手首に何かを付けた。

それは大きな宝石の付いたブレスレットのようだった。

「これは贈り物です。縁があったらまた会えるでしょう。では」

男はうぱを連れて帰ろうとする。

しかしうぱが思いっきり泣き始めた。

「…どうしたの?まさか、帰りたくないの?」

男の言葉に何度も頷くうぱ。

私たちのことを指さしてあっち、あっちと言っているようである。

「…わかった。迷子になって心配していただけだし。いいよ、しばらくあっちで遊んでおいで」

言われるが早い、うぱはビューンとこちらに飛んできて私の顔にしがみつく。見えないし、まっピンクだし。

「そんなに懐くなんてね。帰り道、作っておくね」

それだけ言うといつの間にか男は消えて、目の前に扉があった。


その扉を開く。

目の前に震えたザリガニが目を丸くしていた。

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