悪魔がウチにおりまして・13
ウチには悪魔がいる。
人の食生活を変えて、肥えさせる悪魔が。
体重が3キロ増えた。
これは由々しき事態である。
理由は単純明快、食生活の変化だ。
悪魔が肉好きという理由でウチの食事に肉が増えた。
悪魔だけが食べるのであればいいのだが、いくつもおかずを作る面倒さから、私も一緒に肉を食べている。
もともと週に2回くらいしか食べなかった肉が今では週4回。
それは太っても仕方ない。
太ってしまったことは仕方がない。
運動で減らすしかない。問題はこれからの食生活。
このまま悪魔に付き合っていたら肉食生活が続き、増えた体重が3キロから5キロになってしまう。
「悪魔―、これからのご飯、肉を減ら…」
「ダメです」
ダメじゃねぇんだわ。
「お肉は力の源です。食費を多く入れている側にメニューを決める権利があります」
その言葉は確かに一理あるように聞こえる。
しかし食べている量の差で金額を計算しているだけなのでその主張はノーカンだ。
「作っているのは私がほとんどで、あんたはごろごろしているだけでしょうが」
「一理ありますねぇ」
いつの間にか畳から生えてきた羊が真ん中でうなずく。
「どうでしょう。ここは間を取って紙を食べるというのは…」
「そのキャラ付けいらないから」
ピシャリと遮ると羊はしょんぼりと床下に帰っていった。
え?これ言うためだけに出てきたの?
「お肉は力の源です、以下略」
悪魔は羊の登場をなかったことにして振り出しに戻す。
平行線になりかけた時、ふと思い出したことを尋ねてみる。
「…考えたらあんた肉以外のメイン、食べたことあったっけ?」
「…無いかもです」
肉を増やしたせいもある。肉以外はカレーやシチュー、パスタなどを作っていたこともあり、肉メイン以外の料理をほとんど作っていなかった。
悪魔の前に出したのはサバみそ。
魚の中でも味付けが濃い目の料理から試してあげる。
ごくりと喉を鳴らしてサバみそをほぐして口に運ぶ。
「…美味しいです!」
ぱぁっと顔が明るくなり次々にサバみそを口に運ぶ悪魔。
「これから毎日サバみそで…」
「飽きるわ」
ウチには悪魔がいる。
気に入ったら同じものしか食べない、偏食家の悪魔が。




