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悪魔がウチにおりまして・119

ウチでは狐が珍しくへこんでいる。

そこまでへこむことはないでしょうに。


それがちのせいで皆様にご迷惑を…」

悪魔たちが修行していた部屋に閉じ込められた日の夕飯、きつねは茶碗に涙を流しながらご飯を食べている。

「ごんちゃんのせいではないですよー」

「そうです。まさか神サイドが入ると非常口まで機能しなくなるとは思いませんでした」

閉じ込められた2匹が狐を慰めている状況がすでに15分。

全力で助けた手前、慰めるのを止めにくいんだけど、長いよね…。

「いやー、湿っぽいわねぇ」

無敵超人が居てくれて助かります。

「ほら、狐。そんなべしょべしょのご飯食べても美味しくないでしょう?」

お姉は狐を撫でながら新しい茶碗を差し出す。

「ほら早く食べて自分のうちに帰りましょう。急に閉じ込められて仕事残っているんじゃないの?」

お姉の言葉に狐ははっとして茶碗のご飯をしゃかしゃかと掻き込み始める。

それに倣うように悪魔も食事を進めた。

「うんうん。それじゃまたね!」

お姉は狐がご飯を食べるのを見守ると足早に去っていった。

「それじゃボクも帰りますね」

黙ってご飯を食べていた牛は茶碗をシンクに漬けるとそのまま玄関から帰っていく。

「兎田殿!それがちも参ります!」

狐も急いでおかずまで食べ切ると後をついていく。

「…ニンゲン、ボクもついていっていいです?クモちゃん!一緒に行くのです!」

悪魔はクモの脚を引っ張るとそのまま玄関から出ていった。

…部屋には羊と2人。

「皆さん、変に気を使う。そう思いませんか?ニンゲン」

「…そうね」

やっぱりか。

少なくともお姉と牛、更には悪魔まで私と羊を2人にするために出ていったのだろう。

悪魔、空気読めたんだ…。

「まずは助けていただきありがとうございます。あの空間は閉じ込められると内側からどうにもできませんでしたから」

羊が珍しく深々と頭を下げる。

「実際に助けたのはお姉で…」

「なのでまずはと申しました。ニンゲン、あなたは何者ですか」

面を上げた羊はいつになく真剣な目で私を射抜いている。

「あの部屋を外からこじ開けるなど、専務クラスでようやく出来るレベルです。無論、私にもできません」

誤魔化すことなく、自分にもできないとはっきりと語る。

「ニンゲンに私たちと敵対する意思がないことは重々承知しております。ですがそれはそれ」

「…今はそれじゃ、ダメかな」


羊との夜は更けていく。

とりあえず、今度会ったら狐はご飯抜きにしますから!

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