悪魔がウチにおりまして・1212
ウチには悪魔がいる。
豆を撒き散らかしている悪魔が。
「すべてーウチ!すべてーそと!」
キャッチアンドリリースかな?
過ぎ去りし時の豆まきを始めた悪魔をのんびりと眺める。
「ほら、ニンゲン!豆を撒いて邪を呼び寄せるです!」
真逆の伝統が伝わっておるなぁ。
「こっちでは厄除けなんだけど」
「奇遇ですね、こちらでもです」
だったら邪来ないじゃないの。
「ほら、ボクが撒いてますし?呼び寄せるかもですし?」
来たら滅せば良いわけね。
「呼ばれて無いのにお邪魔するー!」
「邪魔するなら帰るですー」
飛び出てきたイモ虫をラケットで打ち返す。
「ニンゲン!健全な豆まきをしましょう!」
無かったことにするなー、壁にぶつかってくっついちゃってるじゃない。
「見た瞬間のダイレクトマーケティング、酷くない!?」
売ってないのよ、打ったのよ。
「ほら、邪来たじゃないですかー」
なんで私に責任のあるような口ぶりなさってるんですか?
「ほら、ミミちゃん。みーにも豆を!かりかりの豆を大量に口に含んでぱっさぱさになる拷問を!」
豆食べたいだけなじゃない。
「イモちゃん、豆食べて喉に詰まらないですか?それなら積極的に食べてもらいますが」
悪魔、もう少しオブラート。
「ところがどっこい!丸のみしても詰まりません!」
包まなくていい、効かないから。
「ほら、豆の皮」
「中身が食べたいのー、食べるけどー」
たまに剥がれる豆の皮をあげると嬉しそうに食むイモ虫。
「あんた、豆好きなの?」
「栄養が!高い!それにみーたちって基本好き嫌いしないじゃない?」
……特定の物しか食べない印象だけど?
「イモちゃんはイモ虫の皮被っている怪異なので」
「同族食らいはしないけどねっ!」
胸を張るな、どこが胸かわからんと言うのに。
「ほら、悪魔。去年の豆持って来ればいいんじゃない?」
「賞味じゃなく消費切れてそう!」
タダで恵んでやるのだから、文句言うんじゃない。
「ニンゲンー、こんなにあったですー」
悪魔が持ってきたのは俵。いつの間にそんな豆仕入れてたの?
「いつの間にか有ったので、去年のではなさそうですー」
「左様、分配です」
狐とモグラが顔を出す。
「ぽんちゃんのところの豆です?」
「そーそー、余っちゃったからごんちゃんと相談して。ミミちゃんにもあげるってメールしたのに既読無視だから」
いけませんよー、いらないならちゃんと断らないと。
「あれー……ボクいつの間に見てました?」
「ミミ殿、時々寝ながらスマホいじってますから」
「ヤバくねぇです?」
アンタのことよ。
ウチには悪魔がいる。
これからスマホの電源を切って寝ることにした悪魔が。




