悪魔がウチにおりまして・1211
ウチには悪魔がいる。
剣を振り続けている悪魔が。
その場に留まり、一心不乱に剣を振る。
「何してるの?」
「タワーディフェンスです」
なんのこっちゃ?
周囲をぐるりと見回すとレンガで囲まれた通路に甲冑が歩いてくる。
「中身は」
「羊さんです」
ならしばきましょう。
「ひーっつっつっつ!食い物をよこしなさーい!」
甲冑の面を開けて羊が笑い声を上げる。
「今回もお疲れ様」
「労わないでください、逆にみじめです」
せっかく楽しんでそうなのに。
「ニンゲン、通路から上がるです。このままでは羊さんに轢かれてしまうです」
はいはいっと。
悪魔のいる高さにあがるとクモが後ろで物資を運んでいる。
「クモの役目は?」
「クモちゃんが運べ運ぶほど強化できるですー」
純粋に補給係なんだ。
「某が呪術師です。なぜ呪い?」
後ろからのっそり出てきた狐は法衣に身を包んで烏帽子を被っていた。
「遠距離必要ですから」
「それは良いんですが、なんで私がボスなんです?」
さらにのっそり現れた牛は黒い鎧に身を包み棒付き鉄球を持っていた。
「ごついからじゃない?」
「それって今の風貌じゃないです?」
それは否めない。
「ダメですよ、牛さん!こんなに早く出てきては!」
ボスならこっちで朗らかにいるべきじゃないものね。
「ほら、通路歩いてなければノーサイドじゃないですか」
そんな決まり事、あったかなぁ。
「というか、まだ始まってませんでした」
スタートしてないのに羊攻めてきてるのはなんでよ。
「羊さんー、戻れますー?」
レンガ壁の上から羊に声を掛けると、兜を外した羊は汗だく。
「ミミ君、これ、すごく重い」
「120キロですからー」
遠慮しなさい、重量。
「私にメリットありますー?」
「これからボコボコにするのを耐えるためですー」
つまり、メリットゼロで良い?
隣に立っている牛は涼しい顔している。
「牛さんはなんで平気なので!?」
「そりゃ私、ボスですから。殴られたら退場できるので」
量産兵の羊は何回も出てくる必要あるからなぁ。
「理不尽!不公平!」
「では開始ですー!」
「悪魔ー!」
ここにいるの、ほぼ悪魔だよ。
タワーディフェンスが始まる。
羊が弓を撃って近付いて来やしませんが!?




