悪魔がウチにおりまして・1205
ウチには悪魔がいる。
温泉で泳いでいる悪魔が。
普通であれば止めるところだが、ここは貸し切り。
私がしぶきを受けなければ問題ない。
「ニンゲンも泳がないのですか?」
のぼせてしまいます。
なんでこんな貸し切り温泉なんぞに来れているのかと言うと、これも悪魔のおかげ。
商店街の福引で3等の温泉旅行団体チケットを当てたのだ。
「……3等でこれって、さらに上は何だったのだろうか」
「2等のゲーミングPC、欲しかったです」
確かに今高いけど!商店街の福引でやること?
「1等は定番の海外旅行?」
「いえ、商店街特選グルメ詰め合わせです」
急にみみっちいけど?
「……ニンゲン、クマの掌、クジラ生肉、特選米、地元で採れた新鮮野菜。さらに入荷したら1ヶ月間交換できる引換券ですよ?」
何があったんだ、商店街。
「でも、旅行の方がよくない?」
「それはそう思います」
やっぱり?
「それはそうですが。日頃の垢を落とすには最適かと」
普通に狐が湯船に浸かってるんだけど怒られません?
「ミミ殿が受け入れられ、某が怒られる道理は無く」
正しい、どちらも毛玉だ。
「それにしてもごんちゃんだけじゃなく、クモちゃんもうぱちゃんもいいだなんて」
言わんとしていることはわかる。
「絶対経営にこっちの者が関わっているのでしょう」
どう考えてもそうよねぇ。
「ただ、おかげでのんびりと温泉を満喫できると思えばよき当選でちた」
そう考えるとそっちの生き物、こっちに根付いているのねぇ。
「それはそうとニンゲン、今日の晩御飯、洋食と和食どちらに下です?」
「和食だけど」
温泉旅館に来てまで洋食食べるの勿体ない気がしてね。
「やったです!お料理半分こしましょ?」
つまりアンタは洋食なのね。
「足りるの?」
普段5人前食べるじゃない。
「……我慢します、タダですし」
そこの理性は働くのか。
「某も洋食に。和食だとエビやカニが多いので」
アレルギー持ちは大変ねぇ。
「そっちの風呂はどうですかー?」
間延びした牛の声がこちらに響く。
「同じですー!」
入ってないだろ、男湯。
「……ん?考えたら狐ちゃんなんでこっちに?」
「昔から母上と一緒でちたので」
……動物だから許されることをして。
「そういえばぽんちゃんと三人でお風呂よく入ったですー、声かければよかったですねぇ」
地元民だけだから仕方ないでしょ。
お部屋にはモグラがいる。
「我がもぐもぐトラベリーの宿はいかがでした?」
本当に手広くやってるわねぇ。




