悪魔がウチにおりまして・102
狐のビルが大変なようで。
どうすんの、温泉って。
「どうちましょう」
狐が泣きながら眼前10㎝のところに居る。
「私に言われても。保険は?」
「火災と地震には入ってます。ただどちらも温泉には適応外と言われてちまいまして…」
よよよと涙をこぼす狐。
まぁそりゃそうでしょうけれど。
「ニンゲン!早くしないと私の住まいが!会社が!」
それはどうでも良い。
しかし本来喜ばしい温泉が対処ができないとこんなに苦労するのか。
皆で悩んでいると間の抜けた声があたりに響く。
「皆さん、どうしたんですかー?」
「悪魔。昨日から見なかったけどどうしたの?」
悪魔は誰かの手を引いて…マジで誰?
「ごんちゃんが困ってるって聞いて。ぽんちゃん、お願いしますー」
「ぽん殿を呼んだのですか!?」
狐がその手があったとばかりに手を打つ。
ぽんとか呼んだってことは今度は狸か…。
「ぽん吉ですー。ごんちゃん、ひさしぶりー」
…もぐら?
「ねぇ、悪魔、このもぐら…」
「狸です」
「狸なのです」
「もぐらなどいませんよ?」
3匹がそろってはぐらかす。
たぶん、触れたらいけないんだろうな…。
「狐が狸に頼るの、本来ダメと言われているのですが…致ち方ありません」
「ぽんちゃんならごんちゃんママも許してくれますよー」
「ごんちゃんの力になれるなら、頑張ります!」
そう言うともぐらはお腹をぽんっと叩いた。
「…彼ならなんとかしてくれそうですねっ」
羊、目を逸らしおった。
背に腹は代えられないのは事実だし、そろそろ本気でどうにかしないとビル傾くみたいだし。
「それじゃ一丁やってくるー。ごんちゃん、案内をしてー」
「ボクも何か手伝いますー!」
3匹の小動物は仲良く玄関から出てった。
「もぐらよね?」
「もぐらですね」
羊も頷く。
「なんか理不尽って強くするよね」
「ツッコんで対処が遅れるよりいいでしょう」
「終わりましたー」
早くない!?
また謎生物が増えた。
温泉は静まり、家庭菜園が出来ていた。
なんなの、この子?




