悪魔がウチにおりまして・100
ウチでは宴会をしている。
羊の独立祝いだそうです。
「皆さまにはご心配をおかけしました」
既にビールグラスを片手に真っ赤に出来上がっている。
顔が赤くなるならわかるけど、身体の毛まで真っ赤になるってどゆことよ。
「ヤギさん、元気になってよかったですねー」
悪魔が一升瓶を片手にイカをはむはむしている。相変わらずこの子の食の趣味、渋いのよね。
「しかしわざわざ宴会をすることかね?まだ会社できたわけではないでしょうに」
「今日やることが区切りが良い気がしたのでっ」
酔っぱらいの羊がよく分からないことを言っている。
「宿主殿、世の中には知ってはいけないこともあるのです」
狐、目が虚ろ。盃を空にされるたびに悪魔が注いでいるのはしっかり見ていた。
「クモー、楽しんでる?」
クモに声をかけるとふらふらと歩いてきた。
「悪魔ー、クモになにあげたの?」
「コーヒーです、クモちゃん属はコレで酔うって動画で…」
「わざわざ酔わせることないでしょうよ」
悪魔の頭をぺしんと叩くとクモが間に入り、私の肩を叩く。
うん、間違いなく酔っているな。
「皆さん、いつもこんな騒がしいことをしてるんですか?」
悪魔から酌をしてもらうと悪魔のグラスに注ぎ返す牛。
馴染んでいるなぁ…。
「ヤギさん、まだ何するか決めてないのに浮かれちゃって…」
なんの会社か決まってないの!?
「ほえ?専務から仕事を受けてそれを行なうだけでは?」
浮かれた気分一点、羊以外のみんながフリーズする。
「や、ヤギさん?社長って、自分で仕事取らないとお給料無いのですよ…?」
間
一気に抜け毛の進む羊。
その後羊はパソコンを取り出して、独立のご挨拶文を拵えることになるのでした。
夜は更ける。
羊に協力して悪魔と牛、なぜか狐も挨拶文を作るのを協力していた。
思えばこんな謎の生き物たちに囲まれて生きることになった。
自分がどこに行くかわかりはしない。
ただ、かわらないんだろうな。
「ニンゲン、社長が仕事を取るにはどうすればいいですか?」
知らんよ。
ウチにはたくさんの友だちがいる。
ただし、ニンゲンが私一人なのはなぁ。
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