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悪魔がウチにおりまして・99

ウチにはジャーキー…じゃなかった。

この羊、どうしましょう。


ウチについてからというもの、羊は布団に潜り込んで出てこない。

悪魔が自分の布団に毛が付くとふてくされているが、そこは大目に見て差し上げろ。

なにせ、羊は…。

「ヤギさん、なんでクビになったんですか?」

悪魔、デリカシーゼロか!?

悪魔の言葉を受けて羊がビクッと身体を震わせるとそのまますすり泣く声が聞こえてくる。

「ねぇ、ヤギさ…きゅぅ」

追撃をしようとする悪魔に慌てて頸動脈を極めて、失神させる。

ごめん、今回手加減できなかったかも。

落ちたこと、そして生きていることを確認して放置。

狐とクモは悪魔に手を合わせている。さすがにアンタが悪い。

「2,000年…2,000年勤めました…それをあっさり…」

普段のおちゃらけた様子はまるでなく、すんすんと泣き声を溢す羊。

そりゃいきなり首ならね。

「羊、元気だそ?しばらくウチに居て良いから」

「ここに居ても意味ありません…生きている意味も…」

言ってもこのケモノもなんのかんの良くしてくれてるものなぁ。

「ヤギ殿、ヤギ殿。ご迷惑でなければそれがちのビルに住まいませんか?当面家賃は要りませんので」

狐からの提案に羊は身体を震わせる。

「再就職のあてもありませんので…」

こういうところ意外と律儀よなぁ。

「大家さん、なんかこっちに…あれ?ヤギさんどうしたんです?」

こんな時に気の抜けた牛がひょっこり顔を出す。

大家=狐のことね。

「兎田殿!ヤギ殿が解雇されてちまいまして」

狐の言葉に牛は首をかしげる。

「…なら、これ何なんですかね?会社からヤギさんへの通達なんですけど」

「要りません、燃やしてください」

ふて寝を決め込む羊を無視し、牛は手紙の封を切った。

いい性格している。

「えーっと…。『貴殿のこれまでの貢献誠に感謝している。今後は取引先として貴殿のますますの発展を願う・ソロモン』ヤギさん独立でもしたんですか?」

んん??

「どういうことでしょう?」

頭を牛の方に向けた羊。牛は手紙をひらりと羊に向けた。

「こっちのセリフなんですが。資本金出資明細とかグループ規約とか。明らかヤギさんが社長の…」

「…そういえば、専務から『枠組みを外れてもらう』と言われてからの記憶が…」

「あー、専務そういうところありますよね、圧強いし」

つまり、会社から子会社設立社長として羊が認められたってこと?

「ねぇ、殴っていい?」

「夢で無い確認のためにお願いします」


ウチには羊がいる。

幸せそうに袋叩きに合っている羊が。

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