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異能学園最底辺C組 〜落ちこぼれ能力者たちの下克上〜  作者: ぺいぺい
第二章 中間試験 縦割りサバイバル編
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第90話 ex. 食分析2 with鳴神日向


 俺はC組の飯山小大。

能力は”食分析”だ。


 ”食分析”は食べ物の味や匂いを瞬時に理解できるという能力。

何の役にも立たない能力。

誰にでもできそうだしな。


 中間試験の時にこの能力が役に立つ訳も無く、

俺はずっと仲間の背中に隠れ、助けてもらっていた。


 俺はそんな能力のせいか、食べることがとてつもなく好きだ。

そして学園の下に広がる街には美味しいお店が沢山あるとの噂を聞きつけ、

放課後や休日は街に繰り出すことが習慣となっている。

そして今回は同じC組の鳴神と一緒に、行列のできるラーメンを食べに行くことに。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 学校が休みの日の朝、寮の前で鳴神と待ち合わせする。

もう待ち合わせの時間は5分も過ぎている。



「わりぃ!遅れた!」



 鳴神が寮から飛び出してくる。

髪はボサボサでいかにも寝起きなのが伺える。

さっきまで寝てやがったな。



「遅い!」


「ごめん!まあ男同士なんだから5分ぐらいさ?」


「行くぞ!走れ!」



鳴神を置いて走り出す。



「おい!待てって!」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 到着したのは街の南部にあるラーメン屋。

まだ朝なのに店の前にはすでにたくさんの人が並んでいる。

大人から学生まで、年齢層は幅広い。

中には長時間並ぶのを見込んで折りたたみ式の椅子を持ってきている人もいる。


 店の入り口には年季のある暖簾がかかっており、

頭に白いタオル、店のロゴが入った前掛けを巻いた店員さんが忙しそうに出たり入ったりしている。



「すげぇ人だな」


「早く並ぶぞ!」



2人で列の最後尾に並び始める。



「これはしばらくかかりそうだな」



そう言う鳴神は眠そうに大きく伸びをしている。



「こうやって待つのも一つの楽しみだ」



まだ完全に起きていない鳴神にありがたい教えを説いてやる。



「ここのラーメン、そんなに美味いの?」


「めちゃくちゃ美味いぞ。テレビや雑誌で紹介されるぐらいな」


「へー、何ラーメン?」


「王道の醤油ラーメンだ。溢れんばかりの野菜と味がよく染み込んだ焼豚が特徴的だ」


「聞くだけで腹減ってきたわ。こりゃ楽しみだ」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 しばらくすると店が開店し、

順番に案内されていく。


 俺たちの番はまだまだ遠い。

しかし、店の回転率が良いのか、お客さんが次々に出て行く。

多分、客側もサッと味わってサッと出て行くんだろうな。


そして待つこと30分ほど。



「次の2名様〜」



店員さんに誘導されて店内に入っていく。



「やっとだー」



待ちくたびれた様子の鳴神が店の入り口の暖簾をくぐって行く。



「おお!いい匂い!」



 入店と同時に鳴神が子供のような感想を述べる。

外に並んでいた時から美味しそうな匂いがしていたが、

店内に入るとそれをより強く感じる。

その香りだけで食欲がそそられる。


 テーブルに着席すると、

鳴神がすぐにメニューを開く。



「どれにする?やっぱ言ってた醤油ラーメンか?」


「もちろん」



鳴神の愚問に仕方なく返してやる。



「じゃあ俺も醤油ラーメンにしよ!すみませーん!」



 注文を終え、

ラーメンの到着を待つ。


 店内はラーメン屋にしては綺麗で清潔感がある。

よく見ると女性のお客さんも多い。

ふと前に座っている鳴神を見ると、スマホをいじっていた。



「おい鳴神、自分が何をしているかわかってるのか?」


「え?スマホ見てるだけだけど・・・」


「まさかラーメンが到着するまでの時間を退屈だと思っているのか!?」


「いや、そうだろ」


「違う!今はラーメンの到着を空腹を感じながら期待し、作り手をリスペクトして待つ時間だろ!」


「は?めんどくせぇな」



 鳴神が嫌な顔をする。

そう文句を言いつつも、スマホをポケットに入れた。



「目を瞑れ」


「はい?」


「いいから目を瞑れ」


「なんでだよ」


「とにかく!」



よく分かっていない様子の鳴神が渋々俺の指示に従って目を閉じる。



「感じるんだ・・・ラーメンの香り、麺を啜る音、そして自分の空腹を」



 嗅覚と聴覚を研ぎ澄ませる。

すると店に広がる濃い香りとそれを食す音が聞こえる。

それに反応して鳴る空腹の音。

最高だ。


 目を閉じて30秒ほど。 

鳴神は何も言わない。

よし、ちゃんと俺の指示に従っているな。


 チラッと目を開けて鳴神を見ると、

先ほどと同じようにスマホを見ていた。

くっ!こいつには何を言ってもダメだ!



「お待たせしました。醤油ラーメンです」



 店員さんが言う。

出てきたのは王道の醤油ラーメンだ。



「おお!めっちゃ美味そうじゃん!」


「そうだろ!待った甲斐があるってことだ」


「じゃあいただきます!」



 鳴神が割り箸を急ぐようにサッと割ってラーメンを食べ始める。

まるで食品サンプルかと思うぐらい綺麗に大量の野菜が盛り付けてある。

食べるのが勿体無いほどだ。

そして端には太く、一眼で味が隅々まで染み込んでいると理解できる焼豚。


 まずはスープから。

レンゲいっぱいに掬い、口に運ぶ。

口に入れた瞬間、長い間何も口にしていなかった影響で電気が走る。


 ぐぁ!口全体に広がるスープの旨み!

これを感じるために長時間待ったんだ!



「うまい!うまい!」



 鳴神は簡単な感想と共に勢いよく食べ勧めている。

まあ余計に考えるより、それが一番いいのかもしれないな。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「あー食った食った!最高だったな」


「ああ、最高のラーメンだった」



 鳴神は満足そうだ。

連れてきてよかった。



「なんか甘いもの食いたいな」



 鳴神が呟く。

確かに、あんなに濃いラーメンを食べた後で、口が甘い優しさを求めている。



「甘いものか、実はこの近くに・・・」



鳴神とのグルメな1日が始まった。




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