第72話 チーム同士の交流
寅影村の中に入る。
中は他の村とは違って異様な雰囲気だった。
武器を持った兵士がたくさん村を歩いており、
何やら慌ただしく動き回っている。
「この村の近くに樹海があるらしいんだ。そこに盗賊団が潜んでて、そいつらから村を守るためにこんなに兵士が多いんだとよ。門番が言ってた」
仙撃がそう教えてくれる。
やっぱり樹海は危険だったのか。
「俺たち樹海行ったぞ。それに盗賊団はもう全員倒した」
「マジか!大丈夫だったのか?」
「いや、変な能力者とか樹海の木でできた牛に襲われたり、巨体の男と闘ったり大変だったけどな」
「そりゃ災難だったな」
俺と仙撃の後ろに4人がついてくる。
國咲が明らかに仙撃のチームの2人を警戒している。
それは仙撃チームの2人も同じだ。
互いに警戒し合っている。
「とにかく宿屋を探すか」
仙撃が言う。
そういえば俺たち、中間試験でちゃんとした宿屋に泊まったことないな。
診療所の夫婦に泊めてもらったぐらいで、あとは野宿だし。
「お、あったぞ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
宿屋に入ると、カウンターにお姉さんが立っていた。
思えば俺たちはお金を一円も持っていない。
「あの、俺たちお金持ってないんだよ・・・」
仙撃に正直に打ち明ける。
「しょーがねーな。俺が払っておくからよ」
村にも入れてもらえて宿屋のお金も払ってもらった。
「ごめんな、何から何まで」
「気にすんなって!」
「そう言ってくれると助かるわ。っていうかどうやって金、手に入れたんだ?」
「そんなの、から奪ったに決まってんだろ?」
あ、やっぱそういう感じか。
まあ俺たちも食い逃げしたからな。
「ではこちらへ」
カウンターのお姉さんに部屋に案内される。
部屋に入る前、仙撃に呼び止められた。
「鳴神、よかったら夜にもう一度会わないか?話したいことがある」
「ああ、いいぞ」
「じゃあ・・・夜に宿屋の隣の食堂で集合しよう」
「俺1人の方がいいか?」
「いや、お前のチームの2人も連れてきてくれ」
仙撃たちはそう言って部屋に入っていった。
「話したいことってなんだろう」
少し疑問を持ちながら俺たちも部屋に入る。
部屋は3人1部屋でベッドは1つしかなかった。
「私としずくちゃんがベッドであなたは床」
部屋に入るやいなや、國咲が勝手に寝る場所を決める。
「いや、俺はベッドで寝る」
「ダメです」
國咲との睨み合いが始まる。
「おなかへったー!」
その隙にしずくちゃんがベッドに飛び込む。
「ふつかれんぞくふかふかべっどー!」
しずくちゃんがベッドの上でぴょんぴょん飛び跳ねている。
確かに二日連続だ。
まあ野宿じゃないだけマシか。
國咲がベッドに腰掛ける。
「あなたの友達だっていう青髪の人、優秀ですね」
「ああ、王様ゴールの時もいっぱい助けてもらったよ」
「まあ、あなたの友達なら悪い人じゃないでしょうけど」
「悪い奴じゃないぞ。にしても仙撃のチーム、腕輪4つも手に入れてるなんてすごいよな」
本当にすごい。
俺たちなんてやっとの思いで腕輪2つ手に入れたのに。
「ひゅうがのともだちのちーむ、みんないいひとそうだね!」
「まあわかりませんよ、敵対する可能性だってあります」
「それはないだろ。仙撃は俺を攻撃したりしないと思うぞ?」
「油断は禁物です」
國咲はそう言うが、
仙撃は俺を裏切ったりはしないと思う。
「よし!仙撃たちのチームとの晩飯まで休むか!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
夜になり、仙撃と待ち合わせている飯屋に向かう。
「おお、来たな!こっちこっち!」
入るなり大声で席に誘われる。
すでに仙撃のチームは座って食べ始めていた。
大きな丸いテーブルに着席する。
「すまんな、呼び出して。まあ、まずは好きなもの頼んでくれ!」
「ほんとに!?」
しずくちゃんが目をキラキラさせて喜んでいる。
「もちろん!好きなだけ食べていいぞ!」
「はぁ〜!!!」
しずくちゃんが仙撃を神様のように崇めている。
人のお金で食べるという最高の食事を楽しみながら両チーム、仲を深めていく。
「俺らなんてスタート地点が砂漠でさ!」
「マジか!最悪のスタートだな」
「いやでもうちのチームのA組、國咲に随分助けられたよ」
「へー、あんたがA組なのか」
「・・・はい」
國咲が料理を頬張りつつ控えめに答える。
「そうだ、互いのチームの能力を確認しておくか」
「あ、そうだな。じゃあ俺のチームから」
國咲をチラッと見る。
「國咲未来、中二のA組です。能力は”未来視”」
「え、未来視!?そりゃすげぇな、未来が見えるってことか?」
仙撃が驚いた声を出して國咲に説明を求めているが、
國咲は話す様子はない。
こいつ、人嫌いを発揮してるな。
「あー、数秒先の未来が見れるんだよ。あと未来を変えたりもできるんだよ」
代わりに軽く説明する。
國咲は説明不足だと思っているのか不服そうな顔をしている。
「で、次はしずくちゃんだな!」
「たかなししずく!しょうに!能力は”しんたいきょーゆー”です!」
消極的な國咲とは対照的にしずくちゃんは元気に答える。
「力とか感情を共有できるんだよ」
「ほー、これもすごい能力だな」
仙撃に褒められて嬉しいのか、
しずくちゃんはニコニコしている。
「で、俺は仙撃と同じ高1のC組。能力は”超力”。説明が難しいんだけど、エネルギー砲をぶっ放せるんだよ」
仙撃のチームメイト2人に向かって挨拶する。
「C組だがめちゃくちゃ強いぞ?なんせ王様ゴールのMVPだからな!」
仙撃がおだててくる。
「それに最近、新技を使えるようになりました!」
「おー!それは見るのが楽しみだな!」
國咲が呆れた顔をしている。
「じゃあ仙撃のチームメイトを説明してくれよ」
仙撃のチームの紹介が始まった。




