第68話 俺と俺
橋の前に到着すると、
門番のような人が立っていた。
「通行証を見せろ」
橋の入り口で通れないように仁王立ちしている。
「ほら、通行証を出して下さい」
國咲が催促する。
ポケットに手を入れて探すが見つからない。
「あれ?ちょっと待って」
他のポケットも探すが見つからない。
「まさか、無くしたんじゃないでしょうね?」
國咲から怒りのオーラが放たれる。
「いやいやぁ!そんなはずは!」
「ひゅうがなくしたー!」
しずくちゃんが怒りの表情で詰め寄ってくる。
「本当にないんですか?もう一回ちゃんと探してください!」
ポケットの奥の奥まで手を突っ込んで探す。
「・・・無いです」
正直に事実を伝える。
「はぁ!?本っ当にどうしようもないですね!」
「俺悪くないもん!ちゃんとポケットに入れたもん!」
まるでしずくちゃんみたいな口調で言い訳を言う。
「ポケット?そういえばさっき助けた女、ぶつかった時にあなたのポケットらへんを触っていたような・・・」
さっきの出来事を思い返す。
女の子が俺に倒れてきた時、
確かにポケットらへんに触られたような・・・
「絶対あいつだ!」
「あのおんなー!」
しずくちゃんも怒っている。
「よし、戻って取り返しに行きましょう」
國咲が拳をガンガン合わせて殺気立っている。
「お、落ち着けって!戻ってもいないんじゃないか?」
「地の果てまで追いかけます。あんな色仕掛けをするような女には天罰を加えないと」
能力者が与える天罰とか怖すぎだろ。
「あの、通行証がないと本当に通れないんですか?」
門番にもう一度聞いてみる。
「通すことはできない」
きっぱりと断言される。
「國咲、今更あの子を追いかけても無駄だ。通行証は諦めよう」
「・・・あなたのせいですからね」
ギロッと睨まれる。
「す、すいません・・・」
自分がハニートラップに引っかかったせいで大きな態度が取れない。
「ま、まあ今は腕輪を探そうぜ」
「まあそうですね」
腕輪は現在1つ。
今日で縦割りサバイバル4日目、残り2日しかない。
「あの、こんな腕輪とか見たことありませんか?」
門番に聞いてみる。
「見たことないな」
まあそうだよな。
「國咲、どうする?」
「寅影村に入れない以上、歩き回って腕輪の情報を探るしかなさそうですね」
「まあそうだよなー」
「ここら辺の地形ってどうなってますか?」
またまた門番に聞く。
「西は丑影村に繋がる岩肌の山。南には森が広がってる。東は・・・立ち入り禁止だ」
「立ち入り禁止?なんでですか?」
「無法地帯だからだ。中は樹海になっているが、異形の魔物や幽霊がいるらしい。最近は悪名な盗賊団なんかも潜んでるって噂だ」
「おい、ヤベー場所じゃねーか」
「やべー」
しずくちゃんが真似して言う。
「じゃあそこは避けて南の森に行くか」
「いや、樹海に行きましょう」
國咲が当たり前のように言う。
「いやいや、話聞いてたか?恐ろしいやつがウヨウヨいるんだろ?そんなの絶対危ないって」
「危ないでしょうね。でもそういう所に腕輪があると私は思います」
まあそんな気もしないこともない。
「そもそも、ハニートラップで通行証を奪われたバカなあなたには何か言う権利はありません」
國咲がわざとらしく所々強調して言う。
「はい・・・ごめんなさい・・・」
「じゃあ決定ですね。さあ行きましょう」
半ば強制的に樹海へ向かうことに。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
樹海の入り口に到着する。
目の前には鬱蒼と樹海が広がっている。
「何をしてるんですかあなたたちは」
國咲の後ろにぴったりとくっつく。
しずくちゃんは國咲の足にしがみついている。
「いや、幽霊が出るって言ってただろ!?」
「おばけこわい・・・」
2人で國咲に頼り切る。
「ミツカミサキから私を守ってくれた勇敢なあなたはどこにいったんですか!」
「それはそれ!幽霊はマジでやばいから!俺らの能力なんて効かないから!」
國咲に呆れられながら樹海を進んでいく。
「もう!歩きにくい!」
國咲が文句を言うが、そんなの聞いてられなかった。
樹海の中は急に寒くなったり、そう思えば生暖かい風が流れてきたり、
なんだか薄気味悪かった。
「本当にこんなとこに腕輪なんてあるのかよ」
「文句は言わない!とにかく探しますよ!人生は冒険です!」
「何言ってるんだよ」
その時、頭上からガサガサ!と音がした。
「なんだ!?」
「おばけ!?」
そう上を向いた時、何かが俺に降ってきた。
「うわぁぁ!」
上から降ってきた何かとぶつかる。
ドシンと地面に叩きつけられる。
「大丈夫ですか!?・・・え!?」
「どうなってるの!?」
國咲としずくちゃんが驚いている。
なんだよ!何が起こってるんだ!?
突然のことに戸惑いながらも顔をあげると、
そこには俺が2人いた。
目の前にもう1人の俺。
顔も体型も同じ。
「だ、誰だよお前!」
「お前が誰だよ!」




