第66話 4日目 寅影村へ
真っ暗な空間で目を覚ます。
上下左右に漆黒の闇が続いている。
体には力が満ち溢れている。
これ、この前と同じ夢だ。
すると暗闇の奥からグルルルル、キリキリキリ、カカカカカ、
と3つの音が聞こえてくる。
前方から現れたのはあのモンスター。
名前は「ミツカミサキ」
前見た夢とは違って今回は鮮明に姿を表している。
一度出会ったからか。
こちらを威嚇するような鳴き声を出している。
まるでよくもやってくれたな、お前を逃がさないぞ、
と言っているみたいだ。
3つの顔がギロリと俺を睨んでいる。
前足をあげて襲ってきそうになった時、目が覚める。
隣ではしずくちゃんがスースーと寝息を立てて寝ていた。
國咲の様子でも見に行くか。
しずくちゃんを起こさないようにソーッとベッドから起き上がる。
「んっ、ひゅうが?」
「ごめん、起こしちゃったな。國咲の様子を見に行こうと思って」
まだ眠いようで目をこすっている。
「しずくもいく」
しずくちゃんが俺の胸に倒れこんできた。
抱っこして連れて行ってくれってことか。
2人で國咲の様子を見に行くことに。
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國咲のベッドのカーテンの前に立つ。
一応、昨日のこともあるので確認してから開けることに。
「おーい、俺だけど入っていいか?」
「え!?ちょ、ちょっと待ってください!」
中から布団を蹴って飛び起きるような音が聞こえた。
「今、服を着ますから!」
中からガサガサと慌ただしい音が聞こえる。
國咲は下着で寝るタイプなのか。
「入っていいですよ!」
ゆっくりカーテンを開ける。
「おー、おはよう」
「お、おはようございます。まったく!いきなり来ないでください!」
「あ、ごめん。体は大丈夫か?」
「もう元気です!ご心配なさらず」
元気そうだし顔色も良さそうだ。
「けがはだいじょうぶなの?」
「大丈夫ですよ。まだ完全復活とはいきませんが、1日経ってだいぶ回復しました」
「そうか、それはよかった」
「では準備して出発しましょう」
國咲がベッドから起き上がろうとする。
「え、もう!?」
「何言ってんですか!あと3日しかないんですよ?」
「いや、3日もあるだろ。今日は安静にしておいた方がいいんじゃないか?」
「大丈夫ですから!早く準備して出発しますよ!」
完全に前の國咲に戻っていた。
っていうか戻るどころか前より元気になってる気がする。
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「ありがとうございました、色々迷惑かけてしまってすみません」
國咲を看病し、俺たちを泊めてくれた診療所の夫婦にお礼を言う。
「気をつけてね」
村を後にする。
村の人に腕輪について聞いたのだが、
腕輪は村長が持っていたがついこの前奪われたとのことだった。
多分だが、この架空世界では12の村の村長が1つずつ腕輪を持っているんだろう。
そしてこの丑影村の腕輪を奪ったのは赤坂だ。
山で会った時に丑影村から来たと言っていたしな。
それに赤坂以外の2人が怪我をしていた。
おそらく赤坂たちもミツカミサキに襲われたんだろう。
よく逃げ切れたな。
まあ赤坂の能力ならいけるか。
「向かうは寅影村ですね」
「ああ、そうだな」
俺たちは寅のチーム。
ゴールは寅影村に関係していると予測して向かってみることに。
そしてその道中に腕輪を探す作戦だ。
ポケットから一枚の紙を取り出す。
「寅影村に入るにはこれが必要なんだよな」
これは通行証で、
寅影村には必要らしい。
「今までの未影村と丑影村はこんなのいらなかったよな」
「ですね、何か違う雰囲気を感じますね」
「だな、にしても通行証をくれるなんてあのご夫婦、本当に優しいよな。俺たちを家にも泊めてくれたし」
「推測ですが、”外からの力”が働いていますね」
「外からの力?」
「言い換えればこの世界を作った能力者からアシストしてもらってるってことです」
しずくちゃんを現実世界に連れて行ったあの人か。
俺たちを助けてくれてるのか?
「なるほど、でもなんで?」
「知らないですよ。けど、あなたが原因な気がします」
「え、俺?」
「はい。あなたは何か・・・普通の能力者とは違う気がします」
「そうか?」
「だってミツカミサキの能力だってあなたには効きませんでしたし」
確かに、ミツカミサキの”能力阻害”が俺には効かなかった。
思い出せば王様ゴールで初めて七罪聖夜に出会った時も「お前、普通じゃねーな」と言われた。
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ゴツゴツした岩が広がる山を歩く。
「寅影村まで頑張って歩きますよ」
國咲は完全回復したようでどんどん進んでいく。
「おなかへったー」
しずくちゃんが言う。
「これ食べますか?」
國咲がポケットからお菓子を取り出した。
これは診療所の夫婦から貰ったものだ。
「たべる!」
しずくちゃんが國咲からお菓子を受け取り、
口に放り投げる。
美味しそうにモグモグと口を動かしている。
そしてしずくちゃんが肩から掛けている水筒を開けて飲む。
これも診療所の夫婦に貰ったものだ。
その時、
「誰か助けてー」
と、どこからか声が聞こえた。
「なんだ?」
「誰かが助けを求めているようですね」
「おんなのひとかな?」
しずくちゃんの言う通り女の人の声だ。
3人で声の方へ歩いていく。
すると岩の陰でへたり込んでいる人を発見した。
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