第65話 再集合
走っていると村の看板が見えた。
看板の下ではなんとしずくちゃんが待ち構えていた。
「ふたりともー!ぶじだー!」
「しずくちゃん!大丈夫だったの!?」
すぐにしずくちゃんに駆け寄る。
「だいじょうぶだよ!」
えっへん!と腰に手を当てて仁王立ちしている。
「せんせーたちがなおしてくれた!」
「そうか、それはよかった!」
目の前のしずくちゃんは元気そうで呪いの魔法陣もしっかり消えている。
「あの、降ろしてもらっていいですか?」
後ろの國咲が言う。
「あ、そうだな」
ゆっくりと國咲を降ろす。
國咲はしずくちゃんに歩み寄り、抱きしめた。
「ごめんなさい、私が不甲斐ないせいで・・・」
「みくはわるくないよ!だれもわるくない!」
しずくちゃんがギューッと抱きしめ返す。
國咲は泣いている。
俺もしゃがみこんで2人を抱きしめる。
「3人とも無事で本当によかった」
「よがっだぁ!ひゅうがとみくとまたあえて!」
しずくちゃんがえんえんと泣き始める。
「2人を守れてよかったです」
國咲が言う。
2人を強く抱きしめる。
今は少しだけ、この幸せを味わっていたかった。
「あ!そういえば國咲が怪我してるんだ!」
「え!たいへん!」
「いや大丈夫ですから、そんな大した怪我でもないですし」
「こっち!」
しずくちゃんが村の中へ走っていく。
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しずくちゃんが入ったのは村の一軒の民家。
入るとすぐに家の主であろう夫婦が出迎えてくれた。
「しずく、このいえのべっどでねてたの!」
「ここは・・・」
「ここはこの村の診療所です」
男性が答える。
なるほど、診療所か。
「怪我をしているようですから、すぐに手当します。さあこちらへ」
女性が案内してくれる。
空いているベッドに國咲を寝かせる。
「大丈夫か?」
「だから大丈夫ですって。こんなの寝たら治りますよ」
夫婦が共同で國咲の手当を始める。
「まさかミツカミサキにやられたんですか?」
男性が手当しながら言う。
「あの、ミツカミサキって・・・」
「近くの森に巣食う神様の使いなんです」
あのモンスターのことだ。
この世界ではそう呼ばれてるのか。
「森は危険なんです。鳴き声が聞こえればすぐに逃げる。これが丑影村での鉄則です」
「そうなんですね。ミツカミサキは森から出てこないんですか?」
「はい、出てきません。その代わりにあなたたちのような、よそから来て何も知らずに森に迷い込んだ人たちを襲っているんです」
なるほど、そりゃ中間試験の生徒が襲われるわけだ。
「これで手当は終わりました。腕の怪我は大丈夫そうですが、打撲の方がひどいです」
「え、だいじょうぶなの!?」
しずくちゃんが心配している。
「多分明日には大分よくなっていると思います。とりあえず今日は安静にしておいてください。他に怪我がないか確認するので一度席を外して頂けますか?」
女性の方が俺に言う。
言われた通り、俺と男性で部屋を出た。
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俺は他の部屋で休みつつ、
村を見て回ったり腕輪の情報を集めていた。
この世界の中心の山で赤坂が言ってたことは本当で、
この村の腕輪はすでに奪われていた。
現在、俺たちは腕輪1つ。
中間試験の目的は腕輪を3つ集めてゴールすること。
残り3日で集められるだろうか。
診療所に戻る。
國咲のいる部屋へ向かう。
ドアを開ける。
國咲の寝ているベッドはカーテンで仕切りがされていた。
「おーい、怪我の具合はどうだ?」
バッとカーテンを開ける。
するとそこにはベッドに座り込んで着替え中の下着姿の國咲がいた。
國咲の髪色と同じ赤の下着を身につけていた。
「きゃああああ!」
勢いよく枕が飛んできて、
俺の顔に直撃する。
「何するんだよ!」
「見ましたね!?」
國咲が布団を被って体を隠し、こちらを睨む。
「え・・・いや、見てないけど?」
「嘘つき!とにかく出て行ってください!」
これ以上攻撃されないよう、慌てて離れようとする。
「・・・赤が好きなんだな」
去り際にボソッと呟いたのが國咲に聞こえており、
枕が後頭部に直撃した。
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部屋を飛び出すとしずくちゃんが立っていた。
「ひゅうが!ごはんよういしてくれたって!」
しずくちゃんが嬉しそうに飛び跳ねている。
「ごはんっ!ごはんっ!」
しずくちゃんの後をついていく。
縦割りサバイバルは残り3日、
今日は本当に疲れた。
危険で刺激的な3日目が終わりを告げた。
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