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異能学園最底辺C組 〜落ちこぼれ能力者たちの下克上〜  作者: ぺいぺい
第二章 中間試験 縦割りサバイバル編
63/92

第62話 3日目 自己犠牲 




「超強力モンスター!?」



 超強力モンスターって・・・

プリントの内容と三田寺先生の言葉を思い出す。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



要確認事項



「架空世界内に1体だけ存在する超強力モンスターを倒せばチーム全員”昇格権”ゲット」



注意事項



・災害級の強さのため、むやみに手を出さないこと。

・能力の扱いに自信があり、覚悟を持った者のみ挑むこと。

・架空世界で死亡すると実際に死亡することを忘れないこと。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



”架空世界の中に超強力モンスターが存在する。災害級とあるように、能力者じゃなければ即殺されるような強さだ”



「遭遇した瞬間に襲ってきて・・・ここまで逃げるので精一杯でした」



 そう語る女の子たちの表情はとても怯えている。

よほど恐ろしい体験をしたんだろう。



「よかったらどんなモンスターだったのか教えてくれないか?」


「・・・四足歩行で人間を優に超えるぐらいの大きな体でした。それに顔が3つ」



 顔が3つ・・・

頭の中で簡単にそのモンスターのイメージが湧き上がる。

それって、俺が昨日夢で見たバケモノじゃないか。



「目が合った瞬間にやられました。あのバケモノはA組の生徒でも勝てないと思います」



 途端、あの鳴き声が聞こえる。

さきほどよりも大きく恐ろしい。

まるで俺たちを探しているように聞こえる。



「私たちのことを探してるんだよ」



 そう呟く女の子の1人がひどく動揺し始めた。

もう1人がそれを青白い顔をしながら落ち着かせている。



「・・・私たちはもう助かりません。あなたたちだけでも逃げてください」



 大怪我をしている女の子が終わりを悟ったような表情で俺たちに言う。

しかし、その表情には助けてくれるかもという少しの希望も垣間見えた。

よく見ると怪我している女の子の腕には腕輪があった。



「もしその腕輪をくれたら助けてあげます」



 國咲が交渉を持ちかける。

女の子たちは驚いた表情を見せたが、

すぐに3人で相談し始めた。



「・・・わかりました。腕輪を渡します」



 リーダーである女の子が言った。

そうして女の子が腕輪を外そうとしたとき、



「・・・嫌だ」



違う女の子がそう呟いた。



「せっかく頑張って手に入れた腕輪なのに!」



 女の子が取り乱す。

まずいな、完全にパニックになってる。



「・・・あんたたちが囮になりなさいよ」



女の子がそう呟いた瞬間、嫌な予感がした。



「危ない!」



 國咲の声が聞こえた。

瞬間、女の子から何本もの紫の槍が飛んでくる。

咄嗟にエネルギー砲で相殺する。



「やめろ!」



 俺は叫んだ。

そこで國咲の様子がおかしいことに気づいた。


 國咲の目線の方を見ると、

紫の槍がしずくちゃんに突き刺さっていた。

え?


 現実を受け止められず、目の前の光景をただボーッと眺めていた。

追い打ちをかけるようにしずくちゃんが地面にバタッと倒れた。



「しずくちゃん!」



 倒れたしずくちゃんを抱きかかえる。

見た所、血は出ていない。

刺されたような傷もないが、

体に薄い魔法陣のようなものが浮かび上がっている。



「何しやがった!」



槍を放出した女の子に叫ぶ。



「ははっ!呪いですよ!私の能力は”呪詛”、相手に呪いをかけられる!」



呪い!?



「呪いにかかった相手は・・・死ぬ」



その言葉を聞いて体に冷や汗が流れる。



「もうすでにその子の体に呪いが回り始めていますよ!10分もすれば全身に呪いが回る。そうすれば・・・そうすれば死です!」



 あははは!と狂ったように笑っている。

他のチームの2人もその光景を見て引いている。

よく見るとしずくちゃんの体から浮かび上がっている魔法陣が濃くなってきている。



「國咲!」



 國咲に”完全未来予測”で未来を変えてくれと言おうと思ったが、

死が確定してるような強い未来は変えられないことを思い出した。

それに、できないのは國咲が一番知っていた。



「・・・あなたを殺せば呪いは解けますか」



 國咲がボソッと呟く。

そして國咲が女の子に走っていこうとした時、

ドンドンと地面を踏みしめるような音が聞こえた。

こっちに向かってきてるのか!?



「もし私たちに攻撃しようとしたら、その子の呪いを強くするから」



俺たちを威圧する。 



「囮になってくれてありがとう」



 女の子のチームは3人で肩を抱えつつ、

走って去っていった。

呆然とその場に立ち尽くす。



「ど、どうしよう!」



 頭の中が真っ白になる。

時間は刻一刻と過ぎていく。

呪いは強くなっていく。



「そ、そうだ!近くの丑影村に行こう!もしかしたら村に他のチームがいて能力で呪いをなんとかしてくれるかもしれない!」



焦燥の中、必死にひねり出した案を出す。



「・・・そうですね、可能性は低いですが今はこれしかありません」



モンスターの足音がすぐ近くまで迫ってきている。



「う、うん!行こう國咲!」



 走り出そうとするも、

國咲が動こうとしない。



「・・・國咲?」



 振り返ると國咲が俯いていた。

そして顔を上げ、俺の顔をじっと見つめる。



「先に行ってください。私は残ります」


「はぁ!?何いってんだよ!一緒に逃げるぞ!」


「・・・3人でも逃げ切れるか分からないし、その間に10分経ってしまうかもしれない。なら私が囮になっている隙に2人で逃げてください」


「でも!・・・」



足が動かない。



「もう嫌なんですよ、大切な人を失うのは」



國咲が言う。



「腕輪、あなたに渡しておきます」



俺に腕輪を投げた。



「・・・さよならです」



 國咲はそう言うと森の中に走っていった。

数秒、その場に立ち尽くす。


 國咲は覚悟を決めて囮になったんだ。

國咲が託してくれたんだ。

ならしずくちゃんを助けないと!

俺はしずくちゃんを抱えて村に向かって走り出した。





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