第35話 秘密兵器
渚さんの”水操作”の能力で生み出された水流によって流れに乗り、
さらに流星の”速度変化”の能力でスピードをあげてどんどんA組のゴールに向かって進んでいく。
無事に壁も越えることができた。
今の所、A組の生徒の姿は見えない。
「鳴神!変装組は上手くやってくれたみたいだな!」
仙撃が大きく笑って言う。
その表情からはワクワクしているのが伝わってくる。
「ああ!」
俺も仙撃と同じ気持ちだ。
C組のみんなの努力、託された想いがひしひしと伝わってくる。
さあ、ここからは本当に正面突破だ。
この速さなら数分でA組の陣地まで到着できるな。
俺が率いる突撃隊は人数が少ないけど大丈夫だ。
”衝撃”の能力の仙撃、”速度変化”の能力の流星、”水操作”の能力の渚さん、”造形”の能力の栗八くん、そして俺の”超力”の能力。
それに期待できる秘密兵器もある。
このみんななら必ずA組から得点できる。
途端、ボートの後ろ側にドン!と大きな衝撃が加わる。
衝撃でボートが前のめりに傾く。
「なんだ!?」
後ろを見ると空を飛んでいる天使が後ろを追いかけて飛んでいた。
「天使!」
「C組の陣地に誰もいなくておかしいと思ったのよ!それに隕石まで降ってくるし!あなたたちの仕業ね!?」
異変に気づいてすぐに飛んできたのか!
「でももう遅いぞ!俺らはこのまま点を取る!」
天使を振り切るように流星がさらにスピードを上げる。
「そんなのさせるわけないでしょ!」
天使が白い翼を大きくはためかせる。
B組との対戦の時のソニックムーブを撃ってくるつもりだ!
「渚さん!躱して!」
天使が案の定ソニックムーブを撃ってきた。
渚さんが水流を操って左右にボートを揺らして避ける。
「ちょこまかと!」
天使が続けて攻撃する。
先ほどと同じように躱したが、一撃大きいのがボートの後ろ側に直撃する。
ボートが後ろに大きく傾いた。
船体の後ろが破壊されていて水がどんどん浸水してくる。
「栗八くん!」
「もう直し始めてる!」
栗八くんはすぐにボートの修復を始める。
ボートは能力で少しずつ形を取り戻していく。
「このままじゃいつか落とされるぞ!」
仙撃が天使に衝撃波を放つが天使はひらりと躱す。
「そんな攻撃当たらないわよ!」
仙撃が攻撃している間にボートの一番後ろに立つ。
「じゃあこれならどうだ?」
あまりエネルギーを使いたくないがしょうがない。
ボートの後ろに行き、とびきりのエネルギー砲を天使に向かってぶっ放した。
”高火力砲”
この近距離じゃ広範囲で逃げる隙はないはずだ!
これは直撃したな!
エネルギー砲が消えていくと、
翼で体を覆い隠している天使が現れた。
白い翼は少し焦げており、煙も上がっている。
翼で守ったのか!?
翼がゆっくりと開く。
「よくもやったわね」
天使は歯を食いしばって俺を恐ろしい眼光で睨んでいる。
あー、完全に怒ってるな。
「まさか耐えてくるとは・・・」
「ちょっとは手加減してあげようと思ったけどもう知らないわ!」
天使が翼を広げて何かしようとする。
やばいオーラをビンビンに感じる。
天使が動き出すその前にもう一度、高火力のエネルギー砲を放った。
しかしエネルギー砲は天使ではなく近くのビルに直撃する。
「バーカ!どこ撃ってんのよ!」
挑発してきた天使に向かってニヤッと笑いかける。
途端、ガッシャーン!とビルが崩れ始める音が響き、
天使の上に大きな影ができる。
天使は影に気づいた瞬間、上を見上げてビルが自分に倒れてくることを理解した。
でももう遅い。
ビルの瓦礫は天使を飲み込み、下敷きにした。
一気に場が静まり返る。
「ひ、日向くん・・・あの子死んだりしないよね?」
流星が心配している。
「あいつなら大丈夫だろ。俺のエネルギー砲も耐えやがったし」
「そ、そっか」
「よし!このまま・・・」
やっと邪魔者が去ったと思った瞬間、上空から鳴き声が聞こえた。
俺たちの真上を龍が飛んでいる。
俺たちが初日に戦ったA組の龍に変身する能力のやつだ!
「次から次へと!」
「道を逸れてあの龍を撒く!」
渚さんが提案する。
「ダメだ!A組が俺たちの存在に気付き始めてる!もう回り道をしている時間はない!このまま進もう!」
龍がスピードをあげ、俺たちの前に着地する。
すると龍が空を見上げ、同時に口から赤い煌めきが漏れた。
火を吹こうとしてる!
「鳴神!このまま進むのか!?」
「大丈夫だ!」
「でも!」
渚さんが俺を見る。
「俺たちには秘密兵器がある!」
「鳴神!今か!?」
栗八くんが言う。
「今だ!」
俺がそう言うと、
栗八くんが合図を送るようにボートを思いっきり叩いた。
すると、バキン!とボートの真ん中の底板が壊れた。
そこには人が一人入れるほどの空洞があり、中からズンッと人が出てきた。
さあ頼むぞ。
俺たちの命運はお前にかかってる。
「やっと俺の出番かよ」
壊れたボートの底から出てきたのは赤髪オールバック、
”紫炎”の能力の持ち主の赤坂だった。




