第30話 心一つに
なかなかその場から動けない。
あれだけ頑張ったのに・・・
電光掲示板には2対3と表示してある。
俺たちC組はB組に負けた。
「結果が全てだ」
凶獄はそう言うと去って行った。
「それでは次がこの合宿最後のゲーム、A組対C組だ!各組、準備してくれ!」
スピーカーから次の試合について告げられる。
「あんなに頑張ったのに・・・」
隣で座り込んでいる流星が悔しそうにボソッと呟く。
「負けたが、まだ終わりじゃないぞ。切り替えてA組とのゲームに望もう」
仙撃がいつもより暗いトーンで言って立ち上がる。
「・・・仙撃の言う通りだ。まだ次のA組との試合がある」
俺も立ち上がり、
座っている流星に手を伸ばす。
「もう十分頑張ったけど、あと少しだけ頑張ろう」
「・・・うん」
流星は浮かない顔だが、
俺の手を弱々しく握って立ち上がった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
C組のみんなが少しずつ陣地に戻ってくる。
みんな怪我は少ないが、疲れている様子だった。
「日向くん・・・」
呼ばれて後ろを振り向くと、
ミリシャと安寧さんの肩を借りて歩く神藤さんがいた。
「神藤さん!大丈夫!?」
「能力を使いすぎちゃったみたい・・・」
肩を貸しているミリシャも結構な傷を負っていた。
「あたしはB組の凶極ってやつに思いっきりやられたよ!あのやろー!」
地面を踏みつけて悔しがっている。
「うん、でも生きて帰れて無事でよかったな」
「鳴神、思ったより負傷者が多い。作戦を考え直そう。次のA組戦、どうする?」
仙撃が難しい顔で話しかけてくる。
仙撃の言う通り、B組との戦いは思った以上に消耗が激しく動けない人が多い。
全員が万全の状態で参加するのは難しそうだ。
それに俺もこの2日間で溜め込んだエネルギーを多く使ってしまった。
使いどころを考えないとな。
全て使い切ってしまったら俺は何の役にも立たない。
「とにかく、C組みんなで集合しよう」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
C組全員で陣地前に集合する。
見渡すと、やっぱりみんな疲れてる。
でもまだ心の火は消えてない。
劣等感や悔しい気持ちが表情に現れていた。
「みんな、疲れてるところごめん。俺のところに集まって欲しい」
そう呼びかけるとトボトボとした足取りでみんなが集まってきた。
「今から次のA組とのゲームの作戦を説明する」
みんなが俺に集中する。
その目から光は消えかかっていた。
「次のA組戦では・・・防衛は諦めよう」
俺がそう言ってもみんな驚いたりはしなかった。
ただ静かに、聞き逃さないように俺の作戦を聞いてくれていた。
「面白いな。何か作戦があるんだろ?」
仙撃が早く聞きたそうに言う。
「昨日は万全の状態でA組に立ち向かって、みんな手も足もでなかっただろ?」
昨日はA組の強力な能力で一瞬で吹き飛ばされた。
勝つことなんて以ての外で自分の身を守るので精一杯だった。
「ましてやみんなこんな怪我じゃはっきり言って・・・A組には勝てない」
誰も否定しなかった。
みんなわかってることだ。
「でも俺はこのまま諦めたくない」
俺の言葉に反応してC組のみんなが頷く。
その目にはやっぱり闘志が宿っているように感じた。
「だから、防衛は諦めて点を獲ることだけに集中しよう。もちろん王様ゴールという勝負には負けると思う。でも、たった1点でもいい、1点でもいいから得点してA組に一矢報いてやろう!」
そう、1点でいい。
1点取れば俺たちC組の力を示せる。
「そうだな!」「1点獲って一泡吹かせてやろうぜ!」
C組のみんなから無理して絞り出した気持ちの声が漏れる。
「それで、具体的にはどうやって攻めるんだ?」
仙撃が言う。
みんなが俺を見る。
「そんなの決まってるだろ?一点突破だよ」




