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第26話 第一歩 


ー B組の王様たちがそっちに向かってる! ー



神藤さんから焦った声で連絡が入る。



「みんな!B組の王様たちが向かってきてるらしい!」


「なに!?」



 一気に緊張が走る。

なんで位置がバレてるんだ!?

まさかクールタイムの3分の間に王様の俺を潰そうってことか!?



「王様ってことは・・・凶獄黒臣か」



 護衛の1人が呟く。

昨日、A組の七罪聖夜と渡り合っていた男。

何の能力か分からないが、黒い炎を纏っていた。

B組で明らかにダントツに強い。

それに仙撃の話だと中等部でA組だったらしい。



「多分、得点のクールタイムの間に王様の俺を潰そうってことだ」



 冷静にみんなに伝える。

ここで焦っちゃダメだ。

王様の俺が取り乱すとみんなにそれが伝染する。



「多分そうだろうな。でもなんで居場所がバレてるんだ!?」



仙撃の言う通りだ。


 

「どうする?鳴神」



 仙撃が俺に問いかける。

護衛のみんなも俺に注目する。

最適解を探せ、今俺たちにできることは・・・



「・・・このまま進もう。俺たちがいまいるのはD5でB組の陣地はもうすぐ。なら、凶獄たちに追いつかれる前に得点しよう!」



護衛のみんなが頷く。



「それで得点したら逆に俺たちのクールタイムの間に凶獄たちを足止めしてやろう!」


「なるほど!迎え撃つってことか!」



その時、神藤さんから連絡が入った。



ー 白川くんたち陽動隊がJ2で交戦中! ー


ー わかった!こっちもじきに戦闘になる! ー



「みんな!陽動隊も戦闘が始まったらしい!俺たちもやるぞ!」



急いでB組のゴールに走り出した。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 B組の陣地に到着した。

B組のゴール前には誰も人がいない。



「おい、B組の防衛が誰もいないぞ!」



仙撃が嬉しそうに言う。



「ああ!陽動隊が完璧に機能してる!B組の防衛全員、あっちが王様だと思ってる!」


「鳴神、早くゴールに!」



 護衛のみんなに催促される。

興奮して少し息が荒くなりながら一歩踏み出して白線を超える。


 するとピーッと大きな音が鳴り、

電光掲示板が1対0から1対1に表示が変わった。



「よっしゃぁぁ!」



護衛のみんなとともに喜びの声をあげる。

この合宿で初めての得点だ!



ー すごい鳴神くん!得点できたね! ー



すぐに神藤さんから連絡が入る。



ー うん!みんなのおかげだよ!あと多分、陽動隊はもう機能してないから俺たちのいるD2付近に来いって伝えて! ー


ー わかった!伝える! ー


ー 神藤さんは大丈夫? ー


ー 大丈夫だよ! ー


ー よかった!もうちょっとだから頑張ろう! ー


ー うん! ー



神藤さんとの通信が切れる。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



神藤さんの隠れているビル 階段の踊り場



「得点できたって!真莉愛ちゃん!ミリシャちゃん!」


「おお!すごいじゃん!」


「すごいです〜」



2人が喜びの声をあげる。



「うん・・・」



 神藤さんはしんどそうに壁にもたれかかる。

その表情は青白く、普通でないことが伺える。



「天音、大丈夫か?」


「神藤さん、少し休まれた方が・・・」



 2人が心配そうに声をかける。

能力の使いすぎで疲労困憊のようだ。



「大丈夫だよ、みんな頑張ってるんだから私も頑張らないと」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



神藤さんとの連絡を終える。



「みんな、気を抜いちゃダメだ!俺たちの存在に気づいたB組の防衛がすぐに来る、それに凶獄たちもだ!」


「そうだな!すぐに次の作戦を・・・」



 仙撃が言い切る前に後ろから強力な威圧感を感じた。

バッと振り向くと、B組の王様の凶極が護衛を連れてこちらに突進してきていた。

俺のことをじっと見つめている。



「来やがった!」



 逃げようとする暇もなく、

凶獄がこちらに向かって黒い炎を放出する。

地面のコンクリートを黒く焦がして真っ直ぐ炎が走ってくる。



「あぶねぇ!」



 仙撃が咄嗟に衝撃波の壁を作る。

衝撃波の壁に黒い炎がぶつかり、

壁を隔てて目の前が黒い炎で見えなくなる。


 次の瞬間、

衝撃波の壁にバキッとヒビが入った。

そして壁が割れると同時に黒い炎の中から凶獄の姿が現れた。



「お前がC組の王様か」



 黒い炎を纏った凶獄が目の前にいる。

鋭く獲物を狩るような表情だ。



「遅かったな!もう点は獲ったぞ!」


「ふん、1点ぐらいくれてやる。そして今からお前を焼き殺す」



 凶獄が何か次のアクションを起こそうとしている。

このままじゃ本当に殺される!


 凶獄が手が少し動いた瞬間、

凶獄に向かって強力な一撃をぶっ放した。



”高火力砲”



 俺の手のひらから出た光が凶獄を包み込む。

ほぼゼロ距離で撃ったおかげか確実に喰らわせた感覚がある。

撃ったエネルギー砲が徐々に消えていく。

しかしそこに凶獄の姿はなかった。



「どこいった!?」



周りを見渡しても見えるのはB組の護衛たちだけだ。



「鳴神!あそこ!」



 仙撃がB組の護衛の前の地面を指差す。

そこには赤い水たまりができていた。

なんだあれ。


 その赤い水たまりからはボコボコと泡が出ていた。

まるで沸騰してるみたいだ。

薄気味悪い。

見たこともない現象に体が強張る。


 次の瞬間、その血の池のようなものが盛り上がり、

ズズッと凶獄が出てきた。



「・・・C組のくせにやるじゃねーか」



 凶獄の周りの黒い炎が勢いよく燃え上がる。

それを見たB組の護衛が距離を取るように後ろに下がっていく。

1人で何かするつもりか!?



「鳴神!何かくるぞ!」



仙撃が焦っている。



「俺が何の能力者か知ってるか?」



 ニヤニヤと笑う凶獄の後ろからゴゴゴゴという地響きとともに、

人間の身長を優に超える大きな門が現れた。

灰色で悪魔や鬼が彫られている門。




”地獄之門”



 凶極が呟くと門がズズズッと音を立ててゆっくりと開いた。

まるで俺たちを飲み込むように。


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