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10話 秘密の会議


勇者ファイムの死、この確定情報は教会上層部と軍のトップ達しか知らなかった。そんな中、魔王が死に聖霊都市は毎日がお祭り騒ぎだった。

だからこそ今、この情報を流す事の危険性は計り知れない。

何故なら、周辺国との貿易の強化が頓挫し魔界からの魔力結晶の採掘停止、更に疲弊しきった軍を立て直したばかりで他国による侵略を防ぎきれない事が挙げられる。

聖霊都市の結界は魔の者の侵略には強いが同じ人ではただの砦だ。


そんな有りとあらゆる利益や脅威を総合的に判断する為に、聖霊都市の権利者達が集まっていた。

聖霊都市のとある会議室で軍の上層部と教会側の議論は進む。


「それは教会側の情報だろ、信用ならん」


「ですが将軍、勇者召喚の際に魔力を提供した軍の者も同様に勇者ファイム様の魔力による繋がりが消えたと言っています。」


教会側と軍は勇者が魔界で死んだ事を話し合っていた。


「主人と勇者の契約を何かしらの魔法で断ち切る事も可能だろう。さらに魔王を倒し召喚の書による存在維持が出来なくなって消えた可能性もある。本来、勇者召喚の書には滞在限界もあるはずだ。」


将軍は更に続ける。


「それに、魔王を倒した勇者が負けるほどの実力者が魔族サイドに今更いるのはおかしな話だろう。」


将軍は少し探るように言った。将軍は教会側が何かを隠している事を疑っていた。

元々、勇者召喚の書は教会側が手に入れたアーティファクトと言われる物で、その物は出処も誰が作ったかも謎であり、この世界の異物ともいえる物である。


この魔導書で呼び出された勇者が大戦で功績を上げ、今では協会の政治的発言力も強い。軍側としては少し肩身が狭くなっている状況だった。

つまり将軍は勇者の死自体は高い確率で認めているが、勇者を殺す存在が現れた今その事実が起こる前に教会側が新たな召喚の書発動させた可能性を疑っている。


「将軍、我々教会もこの事実はやがて脅威となり大衆に広まれば次の王を決める王戦に影響が出かねないと思っている。早急に調査団編成、派遣しそのものを殺すべきかと!」


「それは分かっておる。だからこそタイミングが良すぎる気がしての。魔王が死ぬと同時に教会で魔導書が奪われる騒動。この聖霊都市の防壁をすり抜ける魔族、教会側の管理の甘さ。調査団を軍側から派遣し最悪無駄死にさせた場合の責任をだれがとるのか……」


「なるほど、軍側だけで調査団を出す気はないと、いいでしょう。こちらも人を出しましょう。」


神父は将軍の疑いの目をすらりと躱すように言った。


「では明日の朝、正門に2名向かわせます。そこで合流し魔界に調査へ」


「うむ、こちらは3名もう用意してある。では会議は以上じゃな。」


将軍は調査団のたかが数名の死ぐらい今の地位を揺るがす事は無いとはっきりと分かり切っている。しかしあえて自分の地位が揺らぐ可能性を示唆し、神父側に人を出させた理由は監視するためであった。

会議は終わり数名が退出した。



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