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斜陽  作者: 梓美卯
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1.安堂晴香

私の初恋は年中のときだった。

相手は同じ薔薇組の一ノ瀬春樹くん。



私は幼稚園からの腐れ縁の男友達から彼の死を聞いた。春樹くんは整った顔立ちと優しい性格から女の子に人気だった。私も5歳ながらに彼に惹かれた。


初恋にして人生で1番の恋だった。


「晴香ちゃん」


そう名前で呼んでくれた初めての男の子でもあった。性格だけでなく、声までも優しかったのを憶えている。



5歳の2月、

初めてのバレンタインも春樹くんだった。

お母さんと一緒にハート型のクッキーを作った。



クッキーを渡すと春樹くんは


「ありがとう。すごく嬉しいよ」


って笑ってくれた。


あの笑顔も大好きだった。


元々よく一緒にいた私たちだったけど、それをきっかけに更に仲良くなった。


私は地元の公立の小学校に入学する予定だった。春樹くんも同じ小学に進学するとばかり思っていたのに、春樹くんは受験をして有名私立小学校に進学した。同じ小学校に通えないのが寂しくてたくさん泣いた。


卒園式の日、


「春樹くん。同じ小学生に行けないなんて寂しいよ」


そんなことを春樹くんに話したら、


「僕も晴香ちゃんと離れるのは寂しいよ。今までありがとうね。」


その返答の仕方も優しくてますます惚れてしまいそうだった。私の初恋はこれで終わった。



春樹くんは優しくてかっこよかったけど儚かった。


今思えば周りの同級生より大人びていて、どこか達観している雰囲気があった。



なんで死んでしまったんだろう。


あの冷静さが自分のことを追い込んだのだろうか。


考えても四半世紀も会っていない男の子の心情が分かるわけもなく、考えることを辞めた。

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