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姫さまはいい人



「はぁ、はぁ」

どれぐらい歩いただろうか…

かれこれ二時間ぐらい道のない森の中を歩いている気がする。まぁ時計やスマホなど時間がわかるものは持っていないが、大体それぐらいと思う。

足の方も日頃の運動不足で限界を迎えているのがわかる。

最初はふくらはぎなどが少し痛む程度だったが、段々と感覚自体がなくなってきた気がする。

これって大丈夫なのか…?

「ともくん?どうしたの?疲れたの?」

顔色一つ変えず俺の前を歩く沙月が少し心配そうな顔をしながら言ってくる。

「いや、大丈夫だ…」

そう言いながらも顔が険しくなり少しずつペースも落ちていく。

「ちょっと、休憩しないか?」

近くにあった大きな岩に腰を下ろす。

「けど…今のままスピードだと日が暮れちゃうよ?」

「マジかよ…」どんだけ…遠い場所に連れてこられんだよ。

俺は気を失っている間にここへと連れてこられた。

だからここが王国からどれぐらい離れているか全く分からない。

「んー、そうだ!」

彼女が何か思いついたように、手をポンと当てた。

そして俺を持ち上げ、お姫様抱っこする。

「えっと…沙月さん…これは?」

急なことに目を見開く。

「ん?お姫様抱っこだよ?こっちの方が早く着くし」

「けど、それは恥ずか…っうぉ!」

俺が下ろしてと言う前に彼女は走り出す。

そこからはすぐだった。

五分ぐらいで森の中を抜け、その後の野道も三分から四分ぐらいだと思う。

「着いた!日が暮れる前につけてよかった!」

彼女は俺を抱きながら走っていたのにピンピンしている。

そう言う俺は、お姫様抱っこされてきたのにヘトヘトだった。

人間ってあんなに早く走れるのかよ…チート能力ってすげぇな

「入国書を提示でしてくれ」

騎士の鎧をきた男に止められる。

そうか…ここにきた時は国の中だったからな…入国書なんて持ってないなっーーー

「はい、これ」彼女が騎士にカードを見せる。

「よし」とすんなり通してもらえた。

「沙月さん、入国書とか持ってたんだね…どうやって手に入れたの?」

「えーとね、……もらったの!」

目を逸らし少し間森あったが、それは気にしないでおこう。

「一度、城の方に行こうか…」

この国戻ってきたのは、彼女が国王を殺したからだ…

もしかすると、パニックになっていると思っていたが、城下町を見る限りそんな様子はないな。

城の入り口に行くと、入り口にいた騎士たちは彼女を見るや逃げ出していく。

「沙月さん?なにしたんですか?」

「大丈夫!ともくんは何があっても絶対に守るから!」

いや、そんな事は聞いてないが…城を守る騎士が逃げ出すって相当だぞ…何したんだか…あっ国王殺してたわ…この人。

城内でも騎士たちは彼女を見て同じように逃げ出す。

それでも…国を守る騎士か…と言いたいが、無理に戦闘する必要がなくなったと考えればよかったのかもな…

そして見慣れた扉を見つける。王座の間に続く扉だ。

扉を開け中へと入る。

王座に国王の姿はない…

まぁ彼女が殺したのだからいるはずはないのだが…

「誰も…いない?」

騎士や姫さまとか誰かはいるかと思ったが、誰もいなかった…

どうするか迷いながらその場に立っていると背後から「誰ですか!」と声が聞こえる。

そしてそれは聞き覚えがある声だった。

「姫さま…」

「あ、あなたは…!」

それはこの国姫さまだった。

少し見ない間に顔がやつれたように見える。

「隣に彼女がいると言う事は…あなたが彼女の言っていた『ともくん』なのですね」

俺は頷き、聞こうと思っていたことを口にする。

「聞いてもいいか?やっぱり、沙月が国王を殺したのか…?」

「そうですね……」

少し俯き表情を曇らせる。

「けど、こちらが悪かったのも事実です。無理矢理この世界に召喚し、そしてあなたを無能だからと国から追放する。それも殺すと変わりありません。王も死ぬ時、『殺されても仕方ない』そう言っていました…」

「どんな方法で?」と聞いたが、姫さまは「言いたくない」と口を閉し、沙月にも聞いたが、「忘れた」と言っていた。

沙月一体何やったんだよ…

「国王が死んだってのに…城下町は普通だったんだが?パニックにはならないのか?」

そう、俺たちがこの街に来た時、城下町の人たちは、慌てている様子はなかった。

普通、国王が死んだとなればもっと慌てると思ったんだが…

「それは…城下町の人たちには、国王は、王位を私に継承したと伝えたからです。元々、もうすぐ私が継承するということだったので、急なことではなかった…ことなので城下町の人たちも普通なのだと思います」

「そうなのか…」

国によっては、女はダメ!とか聞いたことがあるが…

この国では女王も構わないんだな…

そんなことを考えていると、

沙月さんに「他の女のことを考えないで」と横腹を小突かれた。

うん、バカ痛い…

「と、いうか他の人たちはどうなったんだ?結局奴隷にされたのか?」

そう、俺と同じようにここに来た人たちはどうなったんだろうか?殺されては…ないと思うが…

「それは…元の世界に帰ってもらいました。」

「え?じゃあ元の世界に帰れるの?」

あれ、元の世界に帰れるの?

あれこの話もう終わりなの?……あ!異世界じゃなくて現実に戻ってから話続くのね…そゆことか…

まぁ確かに…こっちの世界でファンタジーやるより元の世界でやった方が命の危険性は下がるしな…

「いえ、もう転移魔法は使えません」

「………え?」

口をぽかんと開ける。

「な、な…んでですか…?」

開いた口が閉まらず、うまく喋れない…

「元々、転移魔法には使用制限があって三回までだったんです。まずは彼女達を召喚するのに一回、そしてあなた達に二回使用しました。三回目も誰かを召喚するつもりでした…が、もう他の世界の人を頼るのをやめよう…そう考え、この世界に転移された人たちを元の世界に還すのに、一回。…転移魔法を使いました。」

「じゃあ…俺たちはーーー」

「すいませんが…元の世界に還すことができません…」深々と頭を下げ、何度も謝ってくる。

そして、姫さまからは、「冒険者になるのなら…」と元の世界に還すことが出来なかったお詫びとし、冒険の手助けをしてくれると言ってくれた。

「ははは」

笑っちゃうね!やっぱりこの世界からは逃げられない…

いや、この世界で彼女と生きることからは逃げられない。

そうだよね…そんな簡単に異世界出れないよね…

俺たちは、お金やアイテムポーチ、武器、次に行く町までの道の地図なども姫さまからはいただいた。

冒険者証をギルドで作り、俺たちは次の町へと向かうのだった。

その時、他の冒険者と沙月さんが揉めそうになった話は…省略します。





こんにちはゼロCです。土日の間で2話ぐらい出せたらいいなって考えてます。他の人の作品を読むと勉強になるな〜って感じてます。

見てくれる人が増えているのは嬉しいです!

これからも頑張って投稿していくので是非見てください!

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