七
虚ろな声を上げて感染者達が駆けて来る。そして奇声を上げてミュータントも躍り掛かって来た。その時、後ろで扉が閉まった。外と同じでIDカードを通すスロットがあるが、背を向けている暇は無かった。
二人はアサルトライフルを撃ちまくった。腕の中で銃が躍動する。まさに機銃を掃射するように広範囲に銃弾を乱れ飛ばした。
感染者が倒れ、ミュータントは飛散する。
だが続々と奴らは現れる。
「スコット時間を稼いでくれ」
ゴメスが背負っていたバックパックを下ろし、ダイナマイトを幾つも取り出した。それにライターで火を点けている間、スコットは声を上げてライフルを掃射していた。
「ゴメス、まだか!?」
銃弾を受けてもビクともせずに迫ってくる敵の大軍を見てスコットは思わず泣き言を漏らしそうになった。
一旦この部屋から出よう。そして奴らを再びこの中へ閉じ込めてしまうのだ。無論、逃げるわけでは無い。外にいる隊長達と合流し出直してくるのだ。何せこの数、相手が悪すぎる。
「待たせたな相棒!」
ゴメスがダイナマイトを放り投げる。
轟音と共に敵もカプセルも吹き飛んだ。培養液が床に流れ出る。だが、まだまだ敵はいる。ミュータントが多かった。
ゴメスはダイナマイトを投げ続けた。
ミュータント達が弾け飛んだ。
最後のダイナマイトを投じた時には敵の数も減っていた。残りはミュータントだけだった。
爪を振り上げ駆けて来る。スコットはアサルトライフルでその全身を隈なく撃ち続けた。何せ、ある程度まで接近されなければ核の姿が確認できないからだ。だが接近を許せば不利だ。ならば、全身を舐めるように撃つしかなかった。
スコットとゴメスは声を上げて続けてミュータントどもを掃討した。
最後の薬莢が床に落ちる音がした後、辺りは静かになった。
二人は亡骸と染みの間を歩き、広大な培養施設に敵がいない事を確認すると、無言で拳を突き合わせた。
任務完了だ。
二人は施設を出て、工場エリアへ戻った。
「ユメノ、待たせたな」
スコットが言うと負傷した同僚は答えた。
「他の連中は?」
「駄目だった」
「そうか……。だが、これで任務完了なんだな?」
「ああ」
スコットは頷いた。
ユメノに肩を貸す。無線が通じる様になっていた。
「こちらスコット、任務完了。これより帰投する」
「了解」
やや磁気の乱れる間からユキの声が応じた。
そうして生き残った三人は出口へと向かって行ったのだった。