六
複数の鍵から武器庫の鍵を当てるのは一苦労だった。
ゴメスが周囲を警戒し、スコットが鍵をいじる役だったのだが、運が悪いのか、当たりを引いたのは最後の一本だった。
そうして二人は部屋へ突入する。化け物も死体も無い。小さな部屋だった。
そこには大きな金庫があり、それもまた鍵で開く仕掛けだった。
「ダイナマイトがあるな」
スコットが開錠を試みているとゴメスが箱を引きずり出して来て中身を見せた。
「何かの役に立つかもしれん。ちょうどコイツもあったしな」
それは小さなバックパックだった。ゴメスはそれにダイナマイトを詰め込み始めた。
今回も最後の鍵が正解だった。己の運の無さにスコットは溜息を吐きたい気分だったが、鍵があっただけマシだったのだと気を改めた。
期待も薄く扉を開くとそこにはアサルトライフルが二丁と、様々な弾薬が詰め込まれていた。
やっほう、神様!
アサルトライフルを手に、その冷たい感触と、どっしりとした重さに、彼は軽く感動していた。
二人は外に出た。
そして頭上と周囲を警戒しながら先へと進んでゆく。
扉が開け放たれていた。
スコットが躍り込むと、そこは作業員の休憩所のようだった。そこに最後の仲間、ジョージとスティーブソンの亡骸を見付けた。カトレアと同じ、首をやられ、アーマーベストを破り捨てられ、腹に穴がぽっかりと開いていた。内臓は残らず食われていた。
大きなロッカーが開いているのが見えた。きっとここに、みすみす殺してしまった研究員のモヒト・フシジロが隠れていたのだろうとスコットは思った。
机の上にプラスチック製のIDカードが置かれていた。
「念のために持って行くか?」
スコットが問うとゴメスは頷いた。
そして二人は奥へ続く扉へと進む。
スコットが構え、ゴメスが扉を開いた。
廊下が続いている。ミュータントが一体いた。こちらに気付いたように咆哮を上げて駆け出してきた。
スコットは近付いてくる敵のブルーの透明な身体にある複数の核を見切ると全てを正確に撃ち抜いた。ミュータントは飛散した。
廊下の先は下へ続く階段だった。そしてその先に大きな扉があった。すぐ隣にIDカードを通すスロットがある。
スコットはここが最後の場所だろうと、本能的に感じていた。
IDカードを通すと、単調な電子音が短く鳴り、両開きの扉が左右に分かれて収納されていった。
そして二人は見た。
培養液の入ったカプセルの群れと、数え切れないほどの感染者とミュータントがそこに待ち受けているのを。