四
進んで行くと、所々で仲間の亡骸と出会ったのだった。
どれも頭を食い千切られている。
スコットは死んでしまった仲間達のことを思い、何気なく天井を見上げた。
そこにあったのは配管では無かった。
黒い何か大きな獣のような……その首が素早く伸びた。
ガチッと、空気を噛む音がし、首は素早く引っ込んでいった。ゴメスがスコットを押し倒して危いところを回避できていた。
「こいつがユメノの言っていた」
ゴメスが立ち上がり、銃を撃った。
スコットも並んでショットガンの狙いを定めた。
悲鳴が上がった。ミュータントに似た耳をつんざく悲鳴だった。
黒い影は天井の配管を伝って姿を消して行った。
「やれやれ。殺し損ねたか」
ゴメスが悔やむように言った。スコットも同じ気持ちだった。これからは警戒する方角が増えてしまった。おまけにあの獣のような影が一匹だけとは限らない。スコットは銃の弾を装填し満タンにした。
それから二人が、先で犠牲者に食われているカトレアの亡骸を発見したのはすぐのことだった。
屈み込み、まだ若く頭も良い将来有望だったカトレアの亡骸を、屈み込み貪り食っていた感染者達がゆっくり起き上がり標的をこちらへ変えてきた。
スコットとゴメスは並んで銃を撃ち三体の感染者を掃討し終えた。
カトレアの亡骸は悲惨なものだった。首はほとんど噛みちぎられ、骨まで見えていた。おぞましいことにアーマーベストも引き裂かれ、内臓が食い破られていたのだった。
「カトレア……」
頼もしい後輩だった。今日の任務で試験的に小隊長をやることになり彼が子供のように喜んでいたのを思い出す。スコットが悲しみと怒りを覚えた時、不意にカトレアの亡骸がゆっくりと起き上がった。
白く濁った眼がこちらを見詰め、虚ろな声を上げた。その口が大きく開かれスコットの首に噛みつこうとした時だった。轟音とともに、カトレアの首は吹き飛んでいた。
ゴメスが銃を構えていた。
「ゴメス……」
「感染者からも感染すると見た方が良いだろうな」
ゴメスが冷静な口調でそう言った。
「悪い、俺としたことが……」
スコットが謝るとゴメスは肩を叩いてくれた。
「良い奴だった」
ゴメスはカトレアの亡骸を見下ろしそう言った。