ヒロインの朝
ヒロインになりたい。
誰もが一度は夢にみる。
しかし、中学3年生の莉奈はちょっと違って、悲劇のヒロインに憧れている。
私は莉奈。中学3年生。悲劇のヒロインである。(今はなぜ悲劇のヒロインなのかは置いておこう。)
漫画などのヒロインといえば、学校に遅刻しそうになるとパンをくわえて「きゃ〜遅刻遅刻ぅ〜」と言うのが定番である。
しかし、私は少しでも遅刻しそうになると「あぁ…もう嫌だ。もう無理、行きたくない。休も…」と仮病を使うのであった。
さて、そんな私だが、いざ学校に行くとなるとちゃんとする。(周りからどう映ってるのかは知らないが。)
友達に会ったら、にこやかな営業スマイル(?)で「おはよう!」
顔に張り付いて離れないこの笑顔は、作り笑顔と言うらしい。
周りはそんなことにも気づかず、笑顔でおはようと返してくれる。うん、みんないい人ね。好きよ。などと思いながらあの子を待つ。
あの子とは、去年クラスが一緒だった、はるちゃんである。はるちゃんはグループのみんなから愛されていてリーダー的な存在になっている。正直、エセヒロインの私には羨ましくて仕方がない。が、そんなこと口が裂けても言えない。っていうか、言わない。
ガチャッ
暫く待っているとはるちゃんがきた。
私は開いたドアの方向を見なくてもドアの開け方とか足音とか気配でなぜか、はるちゃんが来たとわかってしまう。だから、今日も見なくても来たことがわかった。
違うよ、変態とかじゃないよ。やめて、そんな目で見ないで。
はるちゃんはいつも朝に私のところに来てくれる。私の教室がはるちゃんの教室から一番遠いのにも関わらず。
実は、はるちゃんはとても面倒くさがりなのだ。なのに来てくれる。あぁ、私は好かれているんだな。ヒロインの私はそう感じている。
そうこうしている間に、チャイムが鳴り、はるちゃんは自分の教室に帰っていった。
こうして私の学校生活が始まるのだった。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
初めて作品を投稿させてもらっていますので、至らないところが多くあると思いますが、暖かく見守ってやってください。
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