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とある異世界にて狩人は笑う  作者: 作者不明
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老齢の翁達。

老齢の翁達。



「ナポリタン一つ」


「あっちゃんよお~うちは蕎麦屋っつってんべ?」



「そう言いながらいつも作ってくれるじゃないか」



雪人と同じくらいの年代の黒いローブを着た若い頃は美人であったと思われる穏やかな雰囲気の老女がにこやかに言う。



「そりゃあダチのたのみ聞くくらいはワケないさね」



「はは、せっちゃんはそういうとこが良い奴だあねえ」



「んじゃうちは餃子なー」



「ギレム……おめえもここは蕎麦屋っつってんべえ」


「んなもん雪人の飯がうめえからしょうがあんめえ」



横から現れたのは歴戦の戦士を見まがうドワーフ。




「……傍からみたらこれはある意味凄い面子だな」



冷酒を飲むマルコキアスが苦笑しながら話す。



「ちげえねえなあ、国一つ滅ぼせる魔女にオリハルコンを精製できる鍛冶屋……それに裏世界のマフィアのボス……蕎麦屋がかすまあなあ」



「……いや身体強化のみで魔王をしとめたジジイが何を言うの」



「雪人は龍種も拳一つで倒すからのお」



「ほんと、お前馬鹿だろう……国一つ消滅する焔を拳一つでかき消す奴なんて他に見たことないぞ」



「まるで俺を化け物呼ばわりしてからに……うちの孫はどうなるんだよ」




「あー」



「あー」



「確かにな……」










「……お姉さん達……太一御兄さん困ってるよ」



「まあいいではないかニーナよ……我が主の膝に乗るくらい子供達もよくしている事であろう?」



黒髪の美しい兄の新たな使い魔はにこやかにそう返す。子供達もどこか貴族風にも関わらず気安い女性にどこか懐いている。そしてその使い魔の女性に張り合うようにして狐耳の魔王……玉露も負けずと太一を抱きしめてくる。




「私の方が先にお慕い申しておりました……」



「ほう……そちほどの高位の存在であれば私が何であるかわからないわけであるまい?」




「しゅらばだー」



「しゅらばー」




「お姉さん達……子供達の教育に悪いから」



「すまぬな、ニーナこの獣を黙らすから待っていよ」



「……いくら始祖の位を持つ龍とは言いましても私も魔王の一角……慕う男子の前でそこまで言われて……」



「ほう……やるか……」




魔力が散り散りと放出される。




「……やめてくれ……子供達もいる……」



太一は静かに言葉を告げた。






「文献に寄れば始祖龍との契約は本来番になるための儀式なのよね、使い魔になるというよりは婚姻するという感じなのよ、初代の主は老齢だったから意味は為さなかったけれどね」



「こりゃあ太一も身を固めるべきか?」



「……いや玉露嬢もいるしな」




「……どうだかねえ……うちのはとんと女心に疎いからねえ」



それぞれに注文された料理を差し出しながらどうにものんびりした孫を思いながら苦笑をする。



「それよりエンカの番組始まるぞ」




マルコキアスの言葉にあっちゃんと呼ばれた世界最大規模の殲滅魔法を操る魔術師アーケード=ギアスと奇跡の金属といわれるオリハルコンを精製できる奇跡の鍛冶師ギレム=ハムレット……スチームクリミナル国の実質トップのマルコキアス。そして雪村雪人はこの昔から東国に伝わるエンカという歌が好きだった。他の友人達もまた同様で……。マルコキアスと雪人は自分の様々な伝手を使いアーケードは魔導具のスペシャリストとしてまた製造のスペシャリストとしてはギレムがこの四人の老人達によって造り出された[テレビ]はあらゆる国で普及され娯楽のなかったシムナーク世界で流行の兆しを見せている。また娯楽以外にも政治や紛争地域のニュースを伝える番組やお笑い番組などが作成され民に絶えず情報を発信している。元々は雪人の娯楽欲求に寄るものであったが友人達もあらゆる娯楽を味わい尽くした老齢の人種達……、新たな刺激には弱いのだ。



「せっちゃん……通信魔法の強度あげた[ケーブル]をぎっちゃんと造ったけどこんなのどうするの?」



「ああ次はな……[いんたーねっと]ちうもんをやろうとしてるんじゃわ」



「ああ、お前が言ってた魔法の箱か」



「おおう!24時間好きなもんが見れるちうやつじゃな!」




老人達の楽しい企みはまだまだ続く。


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