ロクスウェル先生の憂鬱
「……カラーページ20ページを一週間で仕上げるでござるか!?」
最近開発された携帯式電話を耳に当てながらロクスウェルは戦慄の表情を浮かべる。先ほど連載している月刊誌の原稿をあげたばかりでようやく食事にありつこうと動きだした矢先に編集長から地獄のような指令が下った。最早アシスタント達にも気力はない。まさかあの恐ろしいカラーページが現実に起こりえるとは誰が思っただろうか……。いやあの男ならば笑顔で指示をするだろう。そして漫画家とは編集長には逆らえないという無力な立場であるのだ。例え地の龍王だとしても……。
「……で、なんで俺捕まってんの?」
「お姉ちゃんのピンチなんだから手伝うでござる!!」
「新作のバック見に行こうとしてたんだけど」
「後でいくらでも買ってあげるから助けるでござる!!」
ロクスウェルはバルバトイとラクシャーナを捕まえアシスタントと共に追いこみをかけている!!
「……ロクスウェル姉、なんか締切早まったらしいぞ」
「いつでござる!?」
「3日後」
「編集長~!!!!!!!」
「……毎回無茶ぶりするよね、あの人」
ラクシャーナはスクリーントーンを削りながらアシスタントと一緒に頷く。
「……家族の事書くとはいったけど……これはないでござるよ」
「……なんか一癖も二癖もありそうな人だもんなあ」
にっこりとした顔をした編集長を思い出すとバルバトイはふむと頷く。
「まあ終ったらこれあげるから、太一さん誘っていけば?」
「こ、これは!!ロイヤルパークのチケット!!夢の国の遊園地でござらんか!!」
「この前手に入れたけど、行く人いないからあげるよ」
「出来た妹でござるううう!!!完成させるでござるよおおお!!」
「……なんか不吉な事しか思い浮かばないのは俺だけか?」
バルバトイはそう言いながらベタを塗り呟く。
 




