女同士の戦い。
「お互い難儀ですね」
「全くだ」
対峙する玉露とルーランは歓声を無視しながら語り合う。
「何故あの人は鈍感なのでしょうか」
「それも魅力だからなんとも」
「確かに」
「やれやれ、主とは良い酒が飲めそうだ」
ルーランはにこにこと笑いながら拳を向ける。
「私もですわ、ですが」
「まあ試合だ、言葉ではなく戦いで!」
二人はそのまま走りだす!
「さああっと言う間に第4試合ですね、今度の個人戦どうみますか?」
「アドバンテージは遠距離と中距離にも攻撃要素が強い玉露にあがるだろうが、どうかな、対するルーランは近接格闘と魔法耐性が異常だ、魔術を主体とする玉露には少し厳しい相手かもしれん」
「カカ!!いいね!!その符術一つ一つに最上級クラスの魔力が込められてんのか!!」
爆風をものともせずに玉露に向かっていく!
「本当に化け物ですわね、普通にこの符術喰らったら動けないのですが……さすが最強の鬼という所ですか」
そう言いながら扇でルーランの拳をいなす!!
「舞踊か!!いいね美しいな!!」
「あら、貴女も美しいですよ」
玉露もクスクスと笑う。
「二人とも数瞬の内の攻防!!素晴らしいです!!」
「君は言葉足らずだな」
「精進します!!」
「なかなかだね」
全ての符術を受け切り目の前に立つ。
「……潔く負けを認めようかしら」
「それもいいが、是非とも最後に大勝負をお願いしたいね」
「そうね」
玉露の後ろに紫色の巨大な魔法陣が浮かぶ。
「……重複魔法陣ね、効果倍増の奴じゃな」
「そうね、今現在出来る総数は100……古代級の百倍の魔力で撃つわ」
「それ、並の魔王5000体くらい消せる奴じゃろ」
「貴女にはそうでもないんじゃない?」
「そうじゃの、冷や汗かく程度か」
「残念、じゃあ悪あがきするわ」
紫色の閃光がルーランを襲い受け切ると同時に玉露の肩に手をかける。
「魔力すっからかん、貴女の勝ちね」
「なかなか腕がしびれた、良い一撃じゃ、それとじゃな、俺思ったんじゃが」
「なにかしら?」
「別に正妻は何人でもいいんだから争う必要なくないか?なかには一組だけしか夫婦になれん国もあるらしいが」
「確かにそうねえ、その気にさせれば……」
「太一を雄にすればよいわけだ、そしたら皆幸せじゃ!!」
「貴女の優勝にかけるわ!」
「任せろ、友よ!!」
「なんだか後ろ暗い駆け引きが行われましたね」
「恋する乙女には常識は通じん、倅にも手を焼かされたものだ」
今は亡き息子にも思うとこがあるマルコキアスの言葉で個人戦の前半は終了した。




