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とある異世界にて狩人は笑う  作者: 作者不明
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困る少年。

七天龍はむちゃくちゃ好きです。






開会式は厳かに行われまずは個人戦初戦はバルバトイであったのだが最初から頭を抱えていた、目の前にはオレンジ色のポニーテールの可愛らしいという形容詞がそのまま似会う少女騎士がいた。



「……なんでお前がここにいんの……エルザ」



「そんなもの決まってるだろう!!お前を婿にするためだ!!」



バルバトイの問いに少女騎士エルザは堂々と答える。






「どうもこんにちは、第一回雪村杯……実況ムラマサ=クドウです」



「どうもこんにちは、解説のマルコキアス=レイヴンだ」




実況席と書かれている場所に座るのは共和国国主のマルコキアスと七三分けの典型的なサラリーマン風の倭国出身の初アナウンサーである男。




「さていきなりバルバトイ選手に求婚している少女は何者なのでしょうか?」



「彼女は恐らく騎士の国ナイツの王族……エルザ=ロレンツ姫だね、よかったじゃないか、あの国は姫しかいないからそのまま王になれるぞ」



「しかしバルバトイ選手は首を縦にふりませんねえ」



「彼は自由を愛する少年だからね、家庭を持つのが嫌なのだろう」









「……エルザ、俺は家庭持つ気はねえって、もう妹みたいなのがいて十分なの?わかる?」





バルバトイは肩を下げる。




「いいや!お前のその戦う姿を見て惚れたのだ!!お前こそ我が伴侶にふさわしい!」




「……融通きかねえなあ」




「なんとでも結構!!それにお前は我が国を救ってくれたあの時より我が心はお前の物だ!」









「……確か大飢饉の時になんだかんだ飯を運んであげたとかいってたでござるな」



「バルバトイちゃん、普通に良い子だしねえ」




観客席でロクスウェルとサイリスはそれぞれ呟く。






「……俺はまだ一人でいたいの!他にも良い男いるべえ?」




「お前しか見えない!」




「うええ……」







「熱烈な愛の告白ですねえ……恐らく彼女は何らかの決意を持ってきてますね」



「恐らく雪人は事前に話を聞いていたんでしょう、なかなか粋な事しますね」









「お前に一太刀入れれば婚約してもらうからな!!」




「何その無茶な要求?」









「……寧ろ嫁貰った方があいつはよいのかもしれん」




「アギエル……私は待ってるのだがな」




「ぬ、ぬう」




「超いちゃついてるし」




観客席でそれぞれ言うアギエルとラグナとラクシャーナ。






「……マジで何のはずかしめ?」




好奇の視線にさらされ何故か婚約までしかけてる、後ろの気配をみたら兄であるアギエルは乗り気だし、姉二人は呑気に観戦。妹はそしらぬ顔。姉になりそうな人はアギエルにもたれかかる。別にエルザが嫌いなわけではない。寧ろ好感がもてるほどだ。人間年齢にしたらバルバトイはまだ十代、十代故に人間族の王族……しかも騎士の血筋に婿入りするのは抵抗があった。




エルザの国に行った事があるが規律を重んじ騎士道をそのまま体現したような堅苦しい国だ。国を責めるわけじゃあないが少なくとも自分に合いそうに思えなかった。唯一気があったのは機械いじりが好きな先々代の王である大爺と呼ばれる好々爺の爺さんだった。




そして一番の理由が父親が物心ついた頃から母親に尻に敷かれているという現実を見ていたからだ。七天龍もゼロから産まれたわけでない。とある魔力の集合体が意識を持ち、男性体と女性体として誕生し、その番が七天龍であるバルバトイ達を産んだのだ。勿論龍化も出来るし人化も出来る。始祖龍には及ばないまでも全属性全てを極めた全属性を統べる龍の番。全能の母カオスと混沌の父ゼロス、人間世界では脅威を振るう伝説の二体ではあるが、父親は母親にベタ惚れのナイスミドルと母親は父親を世界で一番愛してるもきちんと教育をする熱烈な関係で、基本的にドMとドSの関係であるのだ。




正直バルバトイはその関係が健全なものと思えない。そして目の前のエルザも




「……ハアハア、バルバトイの風でバシバシ」



涎を垂らしながら色々と妄想に耽ってる。最早これを何かしようものなら社会的に死ぬ可能性がある。しかも全世界生中継らしいし、色んな意味で終る。騎士国の気高い姫のあられもない姿なんて見せられるわけがない。





「……しかたないな」




バルバトイはそう言った瞬間エルザの後ろへと周り耳元で囁いた。




「……わりい後でデートするから」




「ひょ!」




そう言った瞬間雷が走りエルザの意識を刈り取った。







「あっけない終りになりましたねえ」



「寧ろそれでよいような気がします」





会場からはため息は出たがバルバトイは約束の事を考えると頭がいたくなった。こいつは必ず覚えていると確信があるからだ。







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