テンパリストロクスウェル先生(中編)
「ここは楽しくてよいな」
幼い声が聞こえる。
「教皇自らお出ましですか」
「うむ、太一、息災で何よりだ」
以前、流行り病の治療の依頼で知り合ったとある宗教国家のまだ幼い少女……白い修道服を纏い侍女を傍に控えさせにこやかにほほ笑む。
「我が国の孤児達が漫画が好きでな……、かくいう私もだが」
ふふと笑いながら目の前の少女は笑う。
「しかし御主、ロクスウェル先生の知り合いだったのだなあ!!私は彼女の作品が好きでなあ、心躍るものがある!」
「確かに……人気はあるな」
「そうであろう、彼女の見識は実に面白い……我が国の子供達も連れてきたいものよ」
少女がそう告げた瞬間、空間が異質な感覚に支配された。
「……最近は強盗も粋な事をする」
「漫画文化は今が稼ぎ時の旬ですからね、それに王族もこのイベントにはよく来る」
隣に編集長が来るとそう言うと同時に空間から黒い盗賊用の服を着た十数人の人間達が現れ最近開発された拳銃を掲げ奪う事を目的である事を示した。
「ふむ、太一よ、能力下降と魔法封印の術式じゃな、どうする?」
「……別にいつも通りするだけさ」
ロクスウェルに声をかけると同時に盗賊達の前に立ちふさがった。




