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とある異世界にて狩人は笑う  作者: 作者不明
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羽ばたく白の翼



とある遺跡、二人の青年が向かい合っていた。一人は黒髪にどこか無骨な印象を受ける戦闘の玄人と思われる青年。もう一人は白い髪に流麗な青年。お互いにため息をつくと友人特有の空気になる。




「ウィスプ……相変わらず盗掘に忙しないようだな」



「おいおい、ロマンて言ってくれよ……太一」


無骨な顔に少年のような笑顔を浮かべるのはウィスプ=ロックマン。所謂トレジャーハンターの職に就く男だ。年齢は25と年は近く……同業者の中でもかなりの実力を持つ男であるのだが突飛な発言をするので仲間達から変わり者扱いをされている。





「ドラゴンになりたい」



そう言えばドラゴンに会いに行き、ドラゴン特有の武術を人間の身で覚えたり。



「賢者になりたい」



そういえばあらゆる知識を蓄えた魔女に師事し、未知の魔法を会得してみたり、そして何よりも仲間達の度肝を抜いたのは……。



「いつかこの大空を飛びたい」



という途方のない夢を言った時である。空を飛ぶというのは魔法でならば可能である世界で乗り物を使い空を飛ぶという事は不可能だと言われ続けてきた。そんな世界の常識に真っ向から立ち向かうような夢に仲間達は大笑いをしたが……唯一たまたま居合わせた太一だけが笑わなかった。前の世界での知識もあるのだろうが、彼のひたむきな願いを笑う事は太一はよしとせず、たまにこうやって行動する時はそれらしい遺跡に連れてくるのだ。




「しかし最近忙しいんじゃないのか?」



「そうでもないさ、社員も一人増えて楽しい限りだ」



「また人じゃない?」




「まあそうだな」




いつものような会話を続けながら遺跡を探索していく。この遺跡はウィスプが見つけてきた古代文明の遺跡でいわゆる神代にまでさかのぼるような[空]に関する魔導具が眠っている。ここまで来るのに並の魔法技術じゃ作成できないようなゴーレムが守護をし様々な魔法を持ったトラップが行く手を阻んだ。そして最奥へたどり着く。




「……まさしく空そのものじゃねえか」



ウィスプは目の前の白い機械的な翼を持つ飛行物体を見ながらにやりと笑う。




「飛空挺に該当するものだな……最近実用化まではいかないまでも多くの国で開発されていると聞く……どうする、これを国に捧げればお前は名誉と安泰を手に入れられるぞ?」



「馬鹿を言え、俺はこの世界に夢を追って生きてるんだ、誰になんと言われようとな」



そう言うと同時にウィスプは目の前の飛空挺に乗り込む。




「間違いねえ……一切の魔力を使わねえ[鉄]の技術だ」



ウィスプが調べた文献の中に該当する文献があったのを思い出した。空を愛した空の王の物語。その男は魔力もほとんどなくただ[鉄]の力を持っていたとされた。誰もが知らない知識と多くの仲間と共に世界の謎に挑み世界を旅した伝説の冒険王……ダニエル=ジャクソン……、ウィスプは幼少の頃よりこの冒険の主人公が好きだった。



魔法を使わない[鉄]の力、彼はその力を脅威と考え仲間と共に晩年封印した。そしてあらゆる財宝をも……男ならば胸躍る展開だとウィスプは思う。現実味を夢見る仲間には一笑にふされたが価値あるものにはわかる財宝だろう、その証拠に。




[空を夢見るものよ、お前がこの我が愛機[ロード]を見つけたならくれてやる、見果てぬ空を旅し己の集めた全てを集めてみよ、夢の続きを見せてくれ……ダニエル=ジャクソン]



ロードという名の彼の愛機にはそう刻まれていた。





「……お前の国まで飛ばしてやろうか?」



「ああ、頼む……鉄の技術は粗方調べた……後は実行するだけだ」



「……恐らく自己修復機能もついているな、鉄の技術と魔法技術の融合された軍事転用もできる技術だ。恐らく前の持ち主はその技術で空を制覇した」



「……ますます夢があるね、さっそく調べるぜ、またな!」



「ああ」




太一は転移をさせると同時にふむと頷いた。




「……恐らく異世界人だな、先輩……貴方の夢は継がれているようだ」




太一は満足そうに呟いた。


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