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とある異世界にて狩人は笑う  作者: 作者不明
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少女の目線。




一か月の月日が流れていつの間にか時間が経った。ニコは人間年齢では5つではあるが、さすが神の子であって物事を習得するのが異常に早かった。言語習得やボタンのつけかた、絵本を介しての世界の成り立ちや、食事マナー、一般的な教養を含め、初級魔法や護身術を覚えた。父母の死もなんとなしに感じ取り、自分を引き取ってくれたバルバトイが父母を抱えてきちんと墓に埋めてくれた。今は新しいお家の近くの墓にいる。




「やあ、ニコおはよう」



「………おはよう、アギエル兄さん」




今新しい家にいるのはバルバトイの家族である兄と姉と同居人、雰囲気が人間でない事から龍種であるとニコは感じ取っていた。七天龍というのは後で知り、どれだけ偉大なのかを知る事にもなる。




「今日はフレンチトーストにでもするかな?」



「………甘くておいしい」



ニコはアギエルの作るご飯がとても好きで、いつも楽しみにしている。



「ニコは好き嫌いなくて偉いな」



「………ラグナ姉さん、好き嫌いしてたら大きくなれない」



「正論だね」



「ラクシャーナは玉ねぎを残すのをやめてみよう」



「勘弁!」




目の前にいるラグナとバルバトイとアギエルの妹ラクシャーナを見ながらクスクス笑う、ラグナは昔王女だったと言われる人でよく寝る前に絵本を読んでくれる。だから好きだ、ラクシャーナはどこか連れだしてはおいしいものを食べさせてくれる。ラグナとアギエルは恋仲というものに近いというのも教えてもらった。




「あら、ニコおはよう、この前の問題全部あってたわよ」



にこやかに声をかけてくれたのは三女のサイリス。とても穏やかな人で御酒を飲むと豹変するらしいけれど、今は近隣の家庭教師をしている。ニコの勉強も見てくれるのでニコの一番の先生だ。




「………御邪魔する………ロクスウェルは?」


無表情で入ってくるのは次女ロクスウェルの上司………雪村太一。ニコはこの人の纏う雰囲気が好きだった。



「やあ、ニコおいしいかな?」



「………うん」



無表情な顔に柔らかい雰囲気で太一はニコに声をかける。アギエルは太一の珈琲を持ってきながらにこりと微笑む。



「すまないね、太一君、昨夜はニコの洋服選びに執着していてなあ………」




「ああ………この前………子供服をネットで大量に買っていたな」



太一は思案すると淹れてくれた珈琲を飲みながらふむと頷く。



「………では今日は一日寝てる可能性が高いな」



「そうだな………この前締切終ったところだし」



「月刊誌か………」




二人はニコに視線を向ける。




「………色々と不安だな」



「………そうだな」



ニコは首をかしげながら二人の青年を見る。




「………じゃあバルバトイを連れてってくれ、今日は俺も蕎麦屋だから」




「はあ!?きいてねえし!!」




二階から駆け下りてきたバルバトイにアギエルは視線を向けると、当然の如く言う。



「お前もこの家に滞在してニコの保護者となった以上はなにかしらの仕事はしないといけないだろう、人界に滞在するにしても身元証明は必要だし、人間としての生活は必要だ、ニコの将来を教えるのはお前の役目だ、援助はする。だが子供を引き取るという大役を選んだのはお前自身だ」




「………ああ、わーったよ、ニコ、兄ちゃん仕事いってくっから」



「いってらっしゃい」



バルバトイもさすがにアギエルにそう言われてはしょうがないと太一と一言二言言った後、外に出ていった。




「さて今日は俺は蕎麦屋でラグナは研究所、サイリス姉さんは家庭教師か、ロクスウェル姉さんは起きないな、ニコ、ロクスウェル姉さんには一人では近づかないことだ、いいね?ラクシャーナはどうする?」



「今日はニーナと遊びに行く予定、ニコも連れていくわ」



「ああ、そうしてくれ、孤児院ならば遊び相手もいるだろう」



こうしてニコの毎日が続いていくのだった。


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