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とある異世界にて狩人は笑う  作者: 作者不明
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バルバトイ空を撃つ。






何故こうなったのか………まあそんな事はどうでもいい、少なくとも瀕死の神とされる夫婦がいて、自分達の子をバルバトイに託して息絶えた………という事実がある。今はそれだけで十分だ。幼い少女は動かなくなった父と母を見て感覚的に死を感じ取ったようだ。神の中には混じり物………即ち異なる神族との婚姻を認めない風習もある天界もある。血筋に異端は入れてはならない。




褐色である父神と白い肌の母神から察するに父の方は蛮勇を司る神で母の方は豊穣を司る神………力の残滓から見て高位の神であるのが伺いしれる。神のルールなんぞ知った事ではないが………そのルールによりこの子の両親が亡くなったというのは癪にさわる。



バルバトイは自由だ。故に家族や自分の大切な者達を害する者に対して己の猛威をふるうが他はどうでもいい………が、背中の斬りさかれた傷………魔法による裂傷。恐らく子供を集中的に狙い傷を負わせたのだろう。




「………誇りがどうだとかは言わないが………こいつは道理じゃねえな」




「抜かせ、我等こそ至高その行為は全て許される」




神々しいまでの光と共に白い甲冑の神達が目の前に現れる。




「何故神の国に貴様のような侵入者がいるかは「うるせえ」




バルバトイの言葉に神達が戦慄する。バルバトイ………彼は七天龍のうちもっとも闘いをしない風の龍王。何故ならば闘いとは力の浪費と考えるからだ。無益な闘いをすればそれだけ自分を楽しむ娯楽は失われ、多くの美食は失われる。兄のアギエルが人の生活を愛すならばバルバトイは生命そのものの営みを愛す。故に一度その逆鱗に触れれば………。





「………人化で十分だな………出力20パーって所か」




「………貴方様は………!!! まさか七天龍!?」




「………うるせえ、今更謝ってもおせえぞ………どんな事しようが誰もが勝手だ、だが子供には何の罪はねえ、てめえらのルールで親殺しをしたなら俺はこの子の将来の痛みを代わりに今晴らす」





強大な暴風と共に風の龍王の怒りに触れ神達は滅び………天界の一世界が滅びた。








「………お前のやる事は構わないが………それでこの子か」




「居る場所ねえし、俺んとこがいいっつうんだもん」



卵粥をスプーンでうまくすくいながら食べる幼子を見ながらバルバトイは答える。



「………神に知り合いがいるから、そこは上手くいっておく、お前にも事情を聞きにくるだろうが………甘んじて受けろ、まあ聞いた感じでは余りよい神の軍勢ではないようだな、最近じゃ穏健派の方が勢力をましてきて人界で暮らす神も多いらしいからな、大丈夫だろう」




「………そいつはいいこって」


バルバトイは欠伸をする。



「………本当に相変わらずだな、この子の名前は?」



「………確かニコだったかな?」



「そうか、ニコよろしくな」



亜麻色の少女ニコがにこりと微笑んだ。


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