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とある異世界にて狩人は笑う  作者: 作者不明
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アギエルの一日。


「いってらっしゃい」


「いってきます」



ラグナを送り出し、本日もアギエルの一日が始まる。といっても今日はシフトが休みの日なので家事を主体にするのであるが、相変わらず締切に悶える声がロクスウェルの部屋からするがそれはほっといて、最近夜遊びも覚えたラクシャーナの簡単な食事を用意しつつ、本日のやる事を確認する。サイリスは連日通い妻のようにサンライズ宅に寝泊まりをしているので朝は基本的に静かだ。




「………とりあえず今日は掃除からはじめるか」




姉と妹がこちらに来る前にあらかた済ませておくといいので、部屋全体を浄化魔法と水魔法できれいにしつつモップがけしておく。基本的にアギエルはいつ来客がきてもいいように清潔を心がけている。そしてある持論をもってもいる。




部屋が汚ければ作業能率が下がる。効率がよい作業がとても適していると考えているので出来るならば姉や妹達の部屋も片付けたいが、やはり女子の部屋に立ち入るというのは余りよくはないのでしないではいる。ロクスウェルの部屋からはおかしなにおいが出ていたので問答無用で掃除をしたが、18禁ものショタ系本と美少年と美少女の漫画本を見つけた時は若干固まった。



「乙女の嗜みでござる!」



そういった姉の趣味に頭をくらくらさせたのは今でも覚えている。とりあえず趣味は放置する事にした。




「おはようー」



寝ぐせをつけた妹が起き出してくると同時に掃除は終らせていたので、作っていた食事を温め直す。今日はフルーツサンドにホットミルクだ。妹が好きな砂糖を多めにいれておく。




「アギエル兄ちゃん、今度さ、友達連れてきていい?」



「いちいち確認せずともいいぞ」



「だって家長、アギエル兄ちゃんじゃん」



いつの間に家長に認定されたのかわからないが妹にとって俺は家長になっているのだ、今更だがもう何千年も生きている俺達にとって友人を家にあげるという事は別にさしたる問題もないと思うんだが。




「でもその友達、[結婚を前提に御付き合いして]ってさー」





問題があった。




「だからうちの兄ちゃんを倒せたらねって言ったら息まいてねー」



「………なら丁重に御迎えせねばな」



うちの家族の暗黙の了解で末の妹を嫁にしようとする際にはまず俺を倒すという約束がある。そして裏ボスとして姉三人、そしてラスボスに長女が控えている、次男はやる気がないので参加はしていない。なんだかんだ妹が皆大切なのである。




食事を終え、ラグナの手伝いをするといって外出した妹を尻目に、妹を口説いた愚かな男の処罰を考える。しまった今日は町内会の寄り合いだ。




町内会という制度も主が提案したもので、街の人間達が問題提議や会議をする事によって生活を改善するというものだ。これは政治にも大きく反映して問題点の改善、例えば道の補修や街路樹を増やす等の公共事業に発展されている。



そして二丁目などの区画を表す番地をつけた事により、より多くの人物を覚えやすくなった。そして町内会の奥様方と仲良くしていて損はない。何より知らない家庭料理や安い店など有意義な会話も出来るからだ。そして回覧板。こちらも様々な決まりごとが記載され、参加すべき行事もきちんと整理されてるので実に有用的だ。




今日も実に有意義な会話が出来た、三丁目のあの店のポークは安くてうまいとか後で買ってみよう。





その後は大概孤児院の方へ顔を出し、太一君と挨拶をした後、子供達と戯れ帰路につく。そしていつも通り料理をしてラグナ達を迎えるのだが………。





「アギエル兄さん、腹減った」



「………帰る早々自由だな、お前は」



次兄であるバルバトイが家の中で妹のお気に入りの雑誌を広げてくつろいでいた。



「風呂ははいったか、飯は今作るぞ」



次兄の性格は知っているのでいつも通りに接する、前会ったのは30年前だったか。




「うん、清潔にしないしょ、兄さん、うるさいしょ、最近の本は結構しゃれてるね」




「ラクシャーナが好んで買うようだ、今簡単にできるのはラーメンしかないぞ」



「あ、最近即席めんていうの開発されたんだよね、東の国の料理だ、じゃそれで」



弟はにこりと笑いながら言葉を返す。




「相変わらずの旅か」



「相変わらずの旅だね」



ラーメンを食べながら俺達は話す。実の所、一番手のかからないのがこの弟である。自由人ではあるがちゃんと俺の言い分も聞きわけちゃんとしたうえでやってくれる。極たまに大きな事をやらかすが。




「………結構家族揃ったみたいだね、ロクスウェル姉さんやたらすごい隈だったけど」



「商売だからな」



「人界は楽しいねー、そんでさ兄さん、頼みがあるんだけど」



「………言ってみろ」



俺は嫌な予感がする。



「………子供の育て方はどうしたらいい」



いつの間には隣にいる亜麻色の髪に紅い眼のにこにことした幼女を確認すると



「………神気を纏っているな」



「ああ、なんか戦死した神様に託された」



「………お前どこの戦場にいってきた」




「ちょっと上(天界)まで」




思考が固まると同時にラグナの声とロクスウェルの唸り声が聞こえてきた。


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