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とある異世界にて狩人は笑う  作者: 作者不明
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最早伝説といえるかどうかは定かではない。



アギエルはため息をついていた。非常にリビングも広く………12畳の部屋が10以上もついて洗濯機や新たに開発された服を乾かすための乾燥機や電気という新たな魔導エネルギーを用いたコンロ。そして物を冷やす冷蔵庫、水洗トイレ、そして湯浴みの出来る風呂、最新式の主が[家電]という魔導具シリーズが揃った三階建ての大きな一軒家。それが新たに借りた家であった。家族と住むならばなるべく大きな方がいいだろうとの事で、試験的な実験も兼ねて住んでくれるならという条件つきではあるが、金貨二枚という破格の値段で借りる事ができた。街外れという立地条件もあり研究にも適した環境だろう。ギルドとの仕事をやれば問題なく払える金額だし、住んだ感想も最初の一か月でいいとのこと。元々雪人が懇意にしていた不動産でもあってとてもお得な物件を紹介された。




個室があるというのは女性陣にとってはありがたかったらしく、自分達好みに造り変えている。将来的には購入もできるとの事なのでこのまま購入するのもありかなとは思ってはいる。




やはり住居を構えると住む人間は劇的に変わるものだ。サイリスは恋人もできた事で御酒よりも服やコスメといったものを買ったり料理も進んでするようになったりもしたし、ラクシャーナはラグナの研究を手伝ったりもするようになった。だが問題なのは………。




「ロクスウェル姉さん………」



「な、なんでござるか!!」




最早干物女といっても大差ないくらいの流行のスウェットをきこなし眼鏡をかけ、カチューシャで髪を上げたボサボサ頭の次女に声をかけた。最近ロクスウェルはギルドの仕事の他に趣味が高じて漫画家なんていう職業についたのだ。漫画というのは視覚で楽しむ書物のような物で絵と文を交えて書かれる若い世代に人気のものだ。



勿論ギルドの仕事もきちんとして家にもお金をいれてくれているのだから、文句は言いたくはない、内容も弟の自分が読んでも面白いというようなクオリティの作品だ。内容は某国の王子が敵国の姫と恋におちるという王道ものではあるが………。




「………一週間風呂はいらないのはどうかなと思うぞ」



「締切がやばいんでござるよ!!」



元々龍というものは汚れという概念は消去できるので随時清潔ではあるし、肌の調子もヒトとは違いいつも細胞循環をして最適に保てているので構わないが、やはり人界にいる以上は身につける服にはにおいもつくし、食事もジャンクフードばかりであるから、塵が片付かないし………趣味を仕事にというのは実にいい。実にいいが、やはり同居している身としてはきちんと身なりとご飯だけは食べてもらいたい。同居しているラグナもまた人間であるし………なのでアギエルは容赦なくこういった。




「………ロクスウェル姉さん………いますぐ風呂に入らなければ3カ月野菜尽くしだ」




「………そ、それだけは勘弁でござる!!!」



ちなみにロクスウェルは大の野菜嫌いであり、常に肉を好んで喰らう。龍種による好みもあるのだろうが、野菜というだけでこの世の終わりのような顔をするので、ラクシャーナ曰くロク姉の世紀末料理だねと揶揄される。冒頭で出たサラダは食べていない。人界で暮らす中では一番アギエルが生活適応力が高く、財布も料理も握っているので更に上の最終手段として発動されるのは[お小遣い制にするよ?]と[嫌いなものにするよ?]である。




「………ならはやく入浴してこい」



「わ、わかったでござるうううう!!!!!」



着替えを取りに部屋に戻る姉を見てやれやれとため息をつく。



「………最早伝説の龍とは言えないな、こんな所帯じみた生活は」



まあそれもよいかとアギエルは呟き、これまた最近印刷発行されはじめたチラシを見ながらどこの商店街の食物が安いのかを見るのである。




「………大型冷蔵庫をネットで買うかどうするか」



雪人の開発したインターネットを使用するための本型魔導具[PC]を十二分に扱うアギエルもまた相当なものではあるとは思うが………家の主導を握るアギエルにはやはり誰も何も言えないのである。





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