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幕間6 無頼僧シレン
間違いである。拙僧はそう感じた時、仏への祈りを捨てた。我が国における雨乞いの儀式に幼子を生贄に捧げるなど許し難い。現に雨が降っている。それにも関らずにだ、あの生き仏という醜悪な男に幼子………幼女を捧げるという妙なしきたりに反吐がでた。子供らの悲鳴が出たと同時に拙僧の拳が生き仏に炸裂し、見事に御縄になった。
「……やれやれ世は無情ですなあ………何故弱き者に試練を与えるのか」
「……廃れたものを維持する事ほど無益なものはないよ」
ふいに檻が開き白い髪の男が言う。
「……さて貴方の通り名は知っている、どうしたい?」
「……カカ、やりましょうか」
そう言うと同時に二人の男は再び生き仏へと向かった。




