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とある異世界にて狩人は笑う  作者: 作者不明
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元帥の休日。



軍事国家ウラノス……大陸有数の軍事国家であり世界機関での武力行使の権限を担う巨大な大国。魔導機械の聖地ともされる。近年魔導具の開発に著しく成長したスチームクリミナル共和国を除けばこの国と後もう一つ電脳国家スパークス以外に並ぶ物はないとされる。軍事国家とはいえ当主である元帥は人も殺せぬような温和な男であり、あらゆる国を制圧できる近代兵器を持ちながらもそれを自衛手段と他国の防御にしか使わないという徹底した指示を部下達にも国民にもしている。だがそのような温和さこそが自国を発展しうる要素としてあると皆が知っているので文句も言わず[穏やかな元帥]という通り名のように悠々自適な軍人生活をしているのがウラノス元帥……アントニオ=アートマンである。



身長は175ほどで大陸出身者にしてはいくらか低く、鍛錬を欠かさない体は鋼のようでもあり、好々爺然とした禿げた頭とちょび髭はどこか愛らしさを感じさせる。元帥の年齢は70で曾孫までおり家族をも愛する素晴らしき人格者でもある。また友の危機とあれば素晴らしき剣捌きと魔術と銃を持って一人で千人を相手取るのだから老人としては最高の能力を持ちうる一人であろう。少なくとも雪人達レベルとは比べてはいけない。



そんな彼の休日の楽しみは雪人の蕎麦を喰らいに行くこと。ひょんな事からスチームクリミナル共和国の当主マルコキアス=レイヴンと会食をした後、夕食は蕎麦を食べようと言う事になり食べに行ったところ……美味いのだ……。




蕎麦という名物があるのも知っていたし噂には聞いていたがこれほどまでに美味いものとは知らなかった。実を言うとアントニオは美食家としても有名である。世界を股にかけて美味しい物を探す情熱は国民を護る時の覚悟と似ているのだ。



マルコキアスは天ぷら蕎麦を食べていたがアントニオは普段皆が食べてないような蕎麦を食したかった。そして頼んだのが南蛮そばである。カレーという料理と蕎麦つゆをかけ合わせた奇跡の一品。スパイスと蕎麦の絡み方がなんともいえず食欲をそそる。まだまだ胃は元気ではあるがやはり老齢となったこの身には歯ごたえのある麵等が嬉しい。



店主である雪人に原料のソボの実を聞いたところ山岳地帯の我が国の近隣に群生しているのを思い出した。この実を改良すればこの蕎麦を我が国でも食べれると考えたアントニオはのれん分けをすぐさま申し出た。



「蕎麦が広がるんならかまいやしねえ……うちの良い奴連れて来な」



快く快諾をしてもらい、アントニオと同じく蕎麦の味に感動し他国より来た優秀な青年職人を土産にウラノス支店が開業された。だがまだ雪人の作る蕎麦には遠く及ばず休日があっては転移魔法で遊びにきては蕎麦を啜るという優雅な一日をしている。そしてここでマルコキアスとも会議をしているのはここだけの話だ。


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