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懐かしき記憶
「ダン…この戦いが終わったら一緒に生きようね」
「ああ、全てを終わらせて」
優しい人だった、彼女は。
蒼い髪に優しい蒼い瞳。
愛しい人だった…。
「シムナークが狂った?」
「ああ、本来ならばありえないことだ」
その当時俺達には戦う理由はあった。
「シムナーク!!!!!ここに来て裏切るか!!!」
「ダン…彼女はもう」
「ダン…いいの、貴方が生きてくれたらもう」
彼女の優しい瞳が力なく閉ざされる。
シムナーク。
貴様は俺を欺いた、そして俺の最も大切な彼女を滅ぼした。
よかろう、お前が堕ちたならば俺も堕ちよう。
貴様の傲慢な愛によって贄となった彼女の代わりに報復をしよう。
俺は愉悦に身を潜める。
お前の関わる全てを滅ぼしてまた彼女に会いにいこう
「お前の祈りは届くか?」
「届かせるさ、神宮司、俺は彼女にまた会いにいく」
眠りから覚め黒い神父服を纏った男にダン=ブラックはただ呟く。
「世界を敵にまわし、壊しても俺は彼女に会いにいくよ」
それはただ一人の男の願い




